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このページは、企業の保険担当者が賠償責任保険の基礎知識である商品種類について解説します。今後一つ一つの商品についても解説していきますので、このページでは、まず補償内容の全体像を把握していただければと思います。
その前に、大前提として賠償責任保険とは、どのようなものかご存知でしょうか?文字通り、被保険者(補償を受ける方)が、相手の物を壊してしまったり、ケガを負わせてしまった際に受けた法律上の賠償責任を補償する保険です。
商品の説明に行く前に、賠償責任保険にまつわって、よくある問い合わせについて簡単に解説します。
よくある疑問① いくら支払われるのか?
ここでポイントなるのが、この保険が補償するのは、「法律上の賠償責任」であることです。つまり、法律で定められた額が基準になります。とはいえ、法律で全てのケースの金額を定めている訳ではないため、過去の判例などを参考に支払われることになります。一般的には、時価額が基準になります。たとえば、他人にノートパソコンを壊されてしまったとき、請求できるのは、新品をもう一度購入する価格ではなく、持ち主が使用した分の経年劣化を加味した価格です。
よくある疑問② 台風で飛んだ屋根が他人の自動車を壊した場合は補償される?
2019年の台風で屋根が飛ぶような事故が多く発生しました。その飛んだ屋根が近所に停めてあった自動車に当たって、自動車が壊れたり、近所の民家に当たったなどの事故が多く起こったため、このような問い合わせが多くありました。
実は、賠償責任保険では、このような自然災害などの不可抗力の事故は対象になりません。と言いますのが、そもそもこのような不可抗力の事故に関しては、日本の法律で賠償責任が発生しません。ただし、加害者側に明らかな過失があった場合、たとえば、屋根が外れかかっていたのを認識していたにも関わらず、そのまま放置していた等の場合には、賠償責任を問われることもあり、賠償責任保険で補償されます。
よくある疑問③ 賠償保険の保険金って誰に払われるの?
賠償保険の保険金は、被保険者(ほとんどの場合=契約者)に払われます。つまり、賠償事故を起こした加害者側に支払われます。なお、ご要望があれば、直接被害者側にお支払いすることも可能です。
では、具体的に保険商品の概要を説明します。
施設管理者賠償責任保険
施設や設備等の管理に起因して発生した法律上の賠償責任を補償する保険です。たとえば、お客様がお店の床が濡れていて滑って転んでケガをされたり、その際に持っていた看板の中にあった鏡が割れたなどの施設の管理が十分にできていなかったことに対する賠償責任を補償します。
また、この保険の見落としがちなポイントは、施設の管理に絡む賠償責任だけでなく、業務遂行に起因する賠償責任も補償していることです。たとえば、店員が誤ってお客様の洋服にコーヒーをこぼして、汚れをつけてしまった際の補償もこの保険で可能です。
生産物賠償責任保険(PL保険)
製造・販売または輸入販売した製品が原因で、消費者などの第三者がケガをしたり、物に損害を与えた場合の法律上の賠償責任を補償する保険です。たとえば、製造したパソコンに製造ミスがあり、それが原因で火事が発生したような場合にこの保険が使われます。対象の中には製品だけでなく、取付作業であったり、修理作業などの仕事も含まれます。たとえば、エアコンの設置を行なったが、ネジとめが余かったため、エアコンが落下して購入者がケガをされた場合にこの保険で補償できます。
生産物賠償責任保険に関して、勘違いされている方が多い点があります。この保険の対象は、販売した製品そのものを補償する訳でない点です。先ほどのパソコンの例で説明しますと、補償されるのは、火事の原因を作ったパソコンではなく、火事が原因で燃えた家の方です。同様にエアコンの例では、エアコンそのものが壊れた損害ではなく、購入者のケガの方が補償の対象です。
受託物賠償保険
お客様などからお預かりしている物(受託品)を管理している間に、取扱上の不注意などにより、持ち主に返還できなくなった際の法律上の賠償責任を補償する保険です。主には受託物を盗難されたり、誤って壊してしまったり、あるいは保管場所が火事になって燃えてしまうようなケースが想定されます。たとえば、ホテルのクロークでカバンを預かっていたが、盗難されたような場合に保険金を受け取れます。
請負賠償保険
請負工事や請負作業に伴って発生した工事中の事故によって、第三者にケガをさせたり、第三者の財物を破損させたために生じた賠償責任を補償します。対象の作業は、清掃作業や引越作業から大規模工事までほぼ全ての請負作業です。たとえば、工事中に資材を落下させてしまい、通行人にケガを負わせて場合が対象になります。
その他業種別保険
ホテルや旅館を対象にした旅館賠償責任保険、病院や診療所を対象にした医師賠償責任保険、介護施設を対象にした専用商品など、業種別の商品も多く存在します。
最後に
最近では、総合賠償保険や企業総合賠償保険といった名前で上記の保険商品を包括して補償する商品も多く販売されています。商工会議所や全国中央会などの会員様向けの制度商品も販売されております。これらの商品に加入すれば、一般的な補償は網羅されていますので、安心です。しかし、細かい特約や補償に関しては足りない物をありますので、一つ一つの特約の補償内容を確認することは依然として重要です。
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