金融・投資ランキング
「中小企業PL保険制度」とは、日本商工会議所・全国商工会連合会・全国中小企業団体中央会の会員企業向けのPL保険(生産物賠償責任保険)の制度です。
このページでは、2020年6月をもって廃止になる「中小企業PL保険制度」について解説します。制度の内容や本制度が廃止になる理由、今後どのような保険に加入すべきかについて解説します。
中小企業PL保険制度とは
1995 年に製造物責任法(PL 法)が施行され、中小企業が製造物の欠陥により損害賠償責任を求められた場合の賠償能力を確保することを目的に創設された制度です。
日本商工会議所・全国商工会連合会・全国中小企業団体中央会の会員企業向けのPL保険(生産物賠償責任保険)の制度です。したがって、一般的な保険に加入するよりも割安での加入が可能です。
製造または販売した製品や、行った仕事の結果が原因 で、日本国内において他人の生命や身体を害する人身事故や、他人の財物を壊したりするような物損事故に対して、保険加入期間中に損害賠償請求がなされたことによって、法律上の損害賠償金や争訟費用等の損害を被った場合の補償をする制度です。
以下の特長がある制度です。
- 幅広い業種に対応
- リコールを補償するオプションがある
- 対人・対物事故が発生する恐れがある場合のリコール費用も対応可能
- 部品製造業者も対応可能
なお、当該制度は8社の保険会社が共同で運営しています。どの保険会社で加入しても、同じ補償内容・条件で加入ができます。
中小企業PL保険制度が廃止される理由
近年は大規模自然災害の多発などにより企業が直面するビジネスリスクは多様化・複雑化しており、協議会保険制度だけではカバーしきれないことから現在の加入件数は制度設立当初の半分以下となりました。
加入件数の減少によりこれまでの保険料水準を維持することが困難な状況になったため、廃止することになりました。
また、各保険会社が様々なビジネスリスクに備えた「ビジネス総合保険制度」を各々運営し始めたことも一つの要因だと思われます。
中小企業PL保険制度の継承商品「ビジネス総合保険制度」
日本商工会議所・全国商工会連合会・全国中小企業団体中央会の会員企業向けの総合保険制度です。
中小企業PL保険制度との違い
① PL保険だけでなく、その他の賠償リスク、物損害リスク、休業リスクを総合的に補
償する制度
②各々の保険会社毎の個別の制度
「ビジネス総合保険制度」も会員企業専用の制度になっており、通常に加入するよりも割安で加入できる点は、「中小企業PL保険制度」と同様です。
なお、「中小企業PL保険制度」と同等の補償が必要な企業向けに、PLリスク専用プランも用意があります。
最後に
日本商工会議所・全国商工会連合会・全国中小企業団体中央会の会員企業向けのPL保険(生産物賠償責任保険)制度である、「中小企業PL保険制度」は、複雑化するビジネスリスクに対応できていないため、廃止になります。
後継制度として存在する「ビジネス総合保険制度」は、PLリスク以外の賠償リスクに加え、物損害リスクや休業リスクなど総合的に補償します。「中小企業PL保険制度」と同等の補償が必要な企業向けに、PLリスク専用プランも用意がありますが、これを機会に、現在存在する多岐に渡るリスクを網羅する「ビジネス総合保険制度」への加入をご検討してはいかがでしょうか。