運送業、倉庫業や工場などで使われるフォークリフトは、安全講習会の実施や安全対策にさまざまな工夫をしている会社が増えていますが、事故が後をたたないのも現実です。
このページでは、フォークリフトの事故に対応した保険について解説していきます。
フォークリフトの事故の種類
事故の統計をとっている厚生労働省のホームページで公開されているフォークリフトの死亡災害発生は、以下の通りです。
墜落・転落 | 11件 |
転倒 | 4件 |
激突 | 1件 |
飛来、落下 | 1件 |
激突され | 3件 |
はさまれ、巻き込まれ | 7件 |
交通事故 | 1件 |
合計 | 28件 |
---|
厚生労働省 職場のあんぜんサイト
http://anzeninfo.mhlw.go.jp/user/anzen/tok/anst00.htm
安全対策を行なっている現代においても、フォークリフトの事故で亡くなる方もいらっしゃいます。労働安全衛生法第20条(事業者の講ずべき措置等)違反の容疑で書類送検される事案もあり、企業が対策すべき重要な課題です。
最近の事例(2020年5月21日)
飲料を届けに来ていた酒類卸業の従業員が作業中に、後退してきたフォークリフトとトラックの間に体を挟まれ、頭などを強く打ち、病院に運ばれたが、その後死亡した。
フォークリフトの安全講習
様々の自動車教習所でフォークリフトの安全講習を実施しています。インターネット等でお近くの教習所を探してみてください。
また、最近では講習用の動画がインターネット上にアップされています。
保険会社の動画もアップされてます。事故防止にご活用ください。
フォークリフトの事故に対応した保険
人身事故
構内でフォークリフトが人を轢いてしまった場合の保険は以下の通りです。
対象 | 自社の従業員 | 他人(他者の方等) |
保険 | 自賠責保険 業務災害保険など | 自賠責保険、自動車保険 施設賠償責任保険 |
自社の従業員を対象にする保険
フォークリフトが公道を走らない構内専用の場合、法律の上では、自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)の加入義務はありませんが、自賠責保険に加入することができます。
自賠責保険の補償額は以下の通りで、不十分である可能性があります。
ケガをさせた場合 | 最大120万円まで |
死亡させた場合 | 最大3,000万円まで |
後遺障害を負わせた場合 | 最大4,000万円まで |
労災保険も対象になりますが、不十分ですので、労災総合保険や業務災害補償保険への加入をオススメします。
他人を対象とする保険
自社の従業員への補償同様に自賠責保険で補償されます。同じく補償としては不十分であるため、施設賠償責任保険などの上乗せ保険に加入することをオススメします。
物損事故
対象 | 自社のモノ | 他人のモノ |
保険 | 火災保険 動産総合保険など | 受託物賠償責任保険 施設賠償責任保険 |
自社のモノを対象にする保険
自社の施設にぶつけてしまったり、自社の商品をアームで刺したりする事故など自社のモノに対しては、火災保険や動産総合保険などの保険で補償が可能です。
他人のモノを対象とする保険
他社の車にぶつかったり、他社から預かっている商品を壊した場合には、それぞれ施設賠償責任保険や受託物賠償責任保険で補償することができます。
最後に
フォークリフトは、運送業、倉庫業や工場などで貨物を運ぶのに欠かせない存在になっています。しかし、同時に死亡事故が毎年発生している危険な物でもあります。安全講習などの実施により事故を削減することや万一事故が発生しても大きな事故にならないように対策することが重要です。
それでも、事故が発生する可能性をゼロにはできないため、保険への加入をオススメします。