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施設賠償責任保険(施設賠)とは?台風は?漏水は、対象?

投稿日:2020年6月15日 更新日:


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施設賠償責任保険は、施設の欠陥や管理不足によって、他人にケガをさせたり、他人の物に損害を与えた場合に、賠償金等の費用を補償してもらえる保険です。

最も誤解が多いのが、以下の2点です。

①施設の管理による責任(施設内)のみ対象?
②台風は対象なのか?

以上2点、施設賠償責任保険(施設賠)の対象になるかご存知ですか?

上記の内容を含めて、このページでは施設賠償責任保険(施設賠)について解説していきます。

施設賠償責任保険(施設賠)の内容

「施設賠償責任保険(施設賠)」は、自社が保有または管理する事業用の施設・建物の欠陥や不備によって他人にケガを負わせてしまった場合や、他人のモノを壊してしまった場合に、支払うことになる損害賠償額を補償してもらえる保険です。

例えば、階段の手すりの釘が出ていて、お客さまがその釘で手をケガした場合や床を水拭きした直後に、濡れた床で足を滑らせたお客さまが転倒してケガをした場合などが対象になります。また、その転倒の際に、持っていたスマホが壊れた場合に対象になります。

なお、ここで言う「施設」とは、工場、店舗、倉庫などの建物だけでなく、資材置き場や駐車場なども施設に加えられます。

ここで、以下の1つ目の疑問に関して解説します。

①施設の管理による責任(施設内)のみ対象?

「施設賠」と言う名前により誤解されていることが多いのですが、実は、施設の管理リスクの他に、「業務遂行リスク」も補償します。つまり、企業の従業員や役員が業務を行なっている中で、他人にケガを負わせてしまった場合や、他人のモノを壊してしまった場合も補償の対象になります。

例えば、飲食店で出前で自転車に乗っていて、他人にぶつかってケガをさせた場合にも「施設賠」の対象になります。

つまり、企業の管理する施設内(敷地内)でなくても業務を行なっていることによって発生した事故も対象になります。

 

施設賠償責任保険(施設賠)の補償内容

「施設賠償責任保険(施設賠)」で補償されるのは以下の費用です。

・損害賠償金
・損害を防ぐためにかかった費用
・事故発生時の応急手当等の費用
・裁判等にかかった費用
(弁護士費用や文書作成費用など)

 

他の保険との関係

「施設賠償責任保険(施設賠)」の対象は、他人のケガや他人の物の破損によって発生した賠償責任です。関連するリスクと対象の保険を以下のように整理しました。

他人施設賠償責任保険
他人の所有物(他人の管理下)施設賠償責任保険
従業員・役員労災保険・業務災害保険
自社の所有物火災保険
他人の所有物(自社の管理下)=受託物受託賠償保険

なお、「他人」とは、自社の従業員および役員以外の者を言います。

 

自然災害は対象外?

ここでは、以下の2つ目の疑問に関して解説します。

②台風は対象なのか?

結論から申しますと、台風などの自然災害は基本的に対象になりません。

台風や地震などが原因で、建物が崩れたり、外壁が剥がれ落ちたりしたことによって、下敷きになって他人がケガしたり、他人の物が壊れてしまう可能性があります。しかし、これらの責任は原則問われません。

実は、日本の法律上、自然災害などの不可抗力によって、他人をケガさせたり、他人の物をお壊したりした場合には、責任を問われません。賠償責任自体が発生しないため、保険も補償の対象になりません。

「基本的に」、「原則」と言う言葉を使ったのは、実は賠償責任を問われることもあるからです。企業側に明らかな過失がある場合、例えば、建物が崩れそうな状態であったのに放置していたなどの場合には、施設賠償保険で補償されます。
(ただし、対象になることはほぼありません。)

 

その他注意点

「施設賠償責任保険(施設賠)」では、ほとんどの全ての保険会社の保険商品で、特約で補償されます。したがって、漏水担保特約を付けていない漏水は対象になりません。

 

最後に

「施設賠償責任保険(施設賠)」は、自社が保有または管理する事業用の施設・建物の欠陥や不備によって他人にケガを負わせてしまった場合や、他人のモノを壊してしまった場合に、支払うことになる損害賠償額を補償してもらえる保険です。

この保険は実はそんなに高額ではありません。どんな企業でもあり得るリスクであるため、「施設賠償責任保険(施設賠)」の加入の検討をしてみてはいかがでしょうか。

 

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