2020年新型コロナウイルスの流行により、「病気にかかってしまい働けなくなったら、どうしよう?」とか、「もし自分が病気になって万が一のことが起こったら、残された家族はどうしたら良いのだろうか?」と思われた方も少なくないと思います。
働けなくなった際の収入(所得)を補償する保険には、「所得補償保険」と「収入保障保険」の2つがあります。
所得補償保険と収入保障保険の違い
「所得補償保険」と「収入保障保険」の大きな違いは以下の点です。
所得補償保険 | 損害保険 | 病気やケガで働けなくなった際の所得を補償 する保険。 |
収入保障保険 | 生命保険 | 死亡した時、後遺障害を負った際に、残された 家族の生活を保障する保険。 |
所得補償保険(別名就業不能保険)は、「病気やケガで働けなくなったときの収入減に備えるための保険」です。寝たきりで働けないまま治療費や介護費だけはかかってくるという、ある意味で亡くなるよりも大きな経済的なリスクとなることがあります。そのリスクに備えた保険です。
それに対して、収入保障保険は「亡くなったときや高度障害状態になったときに、残された家族の生活費に備えるための保険」です。全体的な保障内容の観点から言いますと、収入保障保険は定期保険に近い保険であると言えるでしょう。
以下で両者の詳しい内容を解説していきます。
所得補償保険(別名:就業不能保険)とは
所得補償保険(別名就業不能保険)は、「病気やケガで働けなくなったときの収入減に備える」ための損害保険です。
病気やケガで一定期間働けなくなった場合に、給与のように毎月一定の金額が支払われる保険です。各保険会社の商品によって異なりますが、保険料は30歳男性で2,000円~3,000円など手頃なものも多く、保険金額は、おおよそ月10~50万円の間から選択します。ただし、現在の給与を参考にして設定しなければなりません。
所得補償保険の加入に関して、注意が必要なの以下の3点です。
①給付金が支払われる条件
②保障対象となる病気やケガの範囲
③免責期間(支払対象外期間)の長さ
①給付金が支払われる条件
保険金は就業不能状態に該当したときに支払われますが、「就業不能状態」の定義が保険会社や商品によって違います。
「病気やケガの治療目的で日本国内の病院・診療所で入院している」「病気やケガにより医師の指示で在宅療養している」などが条件ですが、在宅療養は自宅以外でも医師の診断書などで認めるという保険会社もあります。したがって、ご加入時に「就業不能状態」のどのような内容か確認して商品を選択しましょう。
②保障対象となる病気やケガの範囲
3大疾病や5大疾病に限定するものから、病気をすべてカバーするタイプまで、商品によって補償範囲は異なります。特に注目されているのが、いわゆる「うつ病」などの精神疾患が補償されるか否かということです。現代のストレス社会においては、100人中2、3人はメンタルヘルスに関する問題で休業しています。メンタル疾患を抱える方のほとんどは、いわゆる努力家の方だと言われています。
このような世の中であるからこそ、精神疾患の補償があるか否かは重大なポイントになります。
③免責期間(支払対象外期間)の長さ
免責期間(支払対象外期間)とは、就業不能になってから、保険金の支払い開始するまでの間の期間のことを言います。例えば、免責金額が7日の保険に加入していた場合、ケガにより就業不能状態が30日続いたケースでは、最初の7日は保険金が支払われません。8日目から30日目までの22日間が対象期間になります。
収入保障保険とは
収入保障保険は「亡くなったときや高度障害状態になったときに、残された家族の生活費に備えるための保険」です。
保険金の受け取りは毎月給料のような形で支給される点は、「所得補償保険」と同様です。保障内容は「定期保険」とよく似ていますが、「定期保険」は一括で保険金を受け取れる点で、「収入保障保険」とは異なります。
「定期保険」と「収入保障保険」を組み合わせてご加入されることをオススメします。
最後に
所得補償保険は、「病気やケガで働けなくなったときの収入減に備えるための保険」です。生存している際の費用を補償する保険です。
一方、収入保障保険は「亡くなったときや高度障害状態になったときに、残された家族の生活費に備えるための保険」です。
保険金の受け取り方は似ていますが、何に対する備えかという点で大きく異なります。「所得補償保険」と「収入保障保険」をご検討のあなたは、どちらを目的にご加入を検討されていますか。
細かい補償内容や支払条件は保険商品毎に異なりますので、一度保険会社や代理店にご相談された方がよろしいかと思います。