新型コロナウイルス感染症にかかったら、労災は下りるのですか？

質問：
　新型コロナウイルス感染症にかかった場合、労災は下りる
　のでしょうか。

結論から申しますと、業務中に新型コロナウイルスに感染したのであれば、労災の認定を受けれる可能性は高いです。

調査により感染経路が特定されなくとも、業務により感染した可能性が高く、業務に起因したと認められる時は、労災保険給付の対象になります。

では、どんな場合にお支払いの対象になるかを細かく解説します。

　

国内での感染の場合

① 医療従事者などの場合

業務外で感染したことが明らかである場合を除き、原則として労災保険給付の対象になります。

※医療従事者等とは、患者の診療・看護の業務を行う医師、看護師、あるいは介
　護の業務を行う介護従事者。

　

② 医療従事者等以外の労働者

以下の場合には、労災保険の給付を受けられます。

・感染源が業務に内在していたことが明らかな場合

・感染経路が特定されていない場合であっても、業務にて感染した蓋然性が高い
　場合（医学専門家の意見を聞いて判断する）

なお、業務にて感染した蓋然性が高いというのは、主に以下の場合です。
　（ア）２名以上の感染者が確認された労働環境下で業務を実施していた
　（イ）顧客等と接触の機会が多い労働環境下での業務を実施していた
　　　　※接触の機会が多いのは、小売店の販売業務、タクシー・バスの運転
　　　　　業務、育児サービスなどを言います。

　　

国外での感染の場合

① 海外出張者の場合

出張先が感染リスクが高い国の場合、海外出張が原因であるかを、個々に判断する。

② 海外派遣特別加入者（海外赴任者）の場合

国内労働者と同様な基準で判断する。

　　

労災保険の申請方法は？

労働基準監督署に「労働者死傷病報告」の提出をしましょう。労災保険が下りるか否かは、「労働者死傷病報告」を提出したのちに、労働基準監督署にて判断されます。

なお、事業主の義務もあります。本人が手続きを行うことが困難な場合には、事業主は手伝わなければなりません。（労働者災害補償保険法施行規則第２３条）

　

参考：

出典：『新型コロナウイルス感染症の労災補償における取扱いについて』