自動車保険(個人向け)

自動車保険の等級とは?

投稿日:2020年5月26日 更新日:

自動車保険に加入する際に、等級について聞かれると思います。何度か自動車保険に加入されたことがある方にとっても、その存在に関してはご存知かと思いますが、細かい内容までは理解していない方も多いと思います。

このページでは、自動車保険の「等級」について、簡単に解説します。

 

ノンフリート等級別料率制度

ノンフリート等級別料率制度とは、保険料の割増引率を定めるための等級制度のことを指します。ノンフリート等級別料率制度は、自動車保険の契約者間の保険料負担の公平性を確保するための制度のことです。つまり、自動車事故を何度も起こした方と生涯無事故の方で、掛け金が同じだった場合には、かえって不平等であると言えます。

※「ノンフリート契約」とは、契約者が所有または使用する自動車の総台数が9台以下の契約、「フリート契約」とは、10台以上の契約のことを言います。

自動車保険の「等級」は、1~20等級(一部の共済では22等級まで)に区分されています。初めて自動車保険を契約するときは6等級が適用されます。(11等級以上の契約を持っている契約者は、2台目以降の車を新規で契約するときは7等級からスタートします。)

等級毎の割引率は一般的には以下の通りです。(保険会社によって異なります)

等級無事故係数の割増引率事故有係数の割増引率
1等級64%割増
2等級28%割増
3等級12%割増
4等級2%割引
5等級13%割引
6等級19%割引
7等級30%割引20%割引
8等級40%割引21%割引
9等級43%割引22%割引
10等級45%割引23%割引
11等級47%割引25%割引
12等級48%割引27%割引
13等級49%割引29%割引
14等級50%割引31%割引
15等級51%割引33%割引
16等級52%割引36%割引
17等級53%割引38%割引
18等級54%割引40%割引
19等級55%割引42%割引
20等級63%割引44%割引

 

等級の決定方法は?

自動車保険を1年間使わなかった場合には、翌年度の契約の等級が1等級上がり、保険料の割引率も上がります。

逆に、交通事故を起こしてしまい自動車保険を使った場合には、翌年の等級が1回の交通事故につき(例えば、3等級ダウン事故の場合、3等級)下がります。また、事故有係数が下がった等級数の年数(先の事例の場合、3年間)適用されます。(最大6年間)

同じ等級でも、事故有係数(低い割引率)が適用されている方は、保険料は高くなります。

なお、メリット等級(6等級以上)の引き継ぎをするためには、保険が切れた日の翌日から7日以内に新契約を結ばなければなりません。

 

保険事故と等級の関係

交通事故を「3等級ダウン事故」「1等級ダウン事故」「ノーカウント事故」の3つに分類されています。それぞれの事故の内容と翌年の等級の違いを以下にまとめました。

交通事故の種類交通事故の主な内容翌年の等級
事故有適用期間
3等級ダウン事故他人を死傷させた
他人の車や物を壊した
自分の車を壊した
(1等級ダウン事故、ノーカウント事故に該当しない事故をした)
事故1件につき3等級下がる
事故1件につき事故有適用期間3年加算
1等級ダウン事故火災、台風、洪水、盗難、落書き、飛び石による車の破損など事故1件につき1等級下がる
ノーカウント事故自分や家族のケガ(人身傷害保険、搭乗者傷害保険、無保険車傷害保険、その他の特約)件数に関わらず等級に影響はない(ノーカウント事故のみなら翌年は1等級上がる)

3等級ダウン事故とは
・他人に怪我を負わせたり、死亡させた際に払われる対人賠償保険の事故
・他人の車や他人の物を壊した際に払われる対物賠償保険の事故
・交通事故で壊れた自分の自動車の修理代として払われる車両保険の事故
自動車を運転して起こした交通事故で自動車保険を使うときは、この3等級ダウン事故である場合が多いです。

1等級ダウン事故とは
・火災、台風、洪水、盗難、落書き、飛び石によって自車が破損した際に支払わ
 れる車両保険の事故
損害が自分の車だけで被害者のいない交通事故の場合に1等級ダウン事故になります。

ノーカウント事故とは
・自分や家族のケガ(人身傷害保険、搭乗者傷害保険、無保険車傷害保険など)
損害が自分の自動車の搭乗者の怪我だけで、被害者のいない交通事故の場合にノーカウント事故になります。

   

他の保険会社に等級を引き継げるの?

結論から申し上げると、他の保険会社に等級を引き継ぐことができます。

各保険会社では日本損害保険協会に等級情報を提供しています。同協会を通じて、適用等級などの契約者情報を共有しています。

逆に言いますと、この仕組みがありますので、等級を誤魔化しても訂正を求められることになります。

ちなみに、デメリット等級(1等級から5等級)の場合は等級情報の保存期間は前の契約の満期日から13ヶ月になっています。この期間、自動車に乗らないのであれば、6等級から再びスタートできます。

 

ノンフリート等級の継承(引き継ぎ)

自動車保険の等級は、本人の他に、同居親族にも引き継ぐことができます。ここで注意が必要なのは、「契約者」ではなく、「記名被保険者」に等級が紐づいていることです。

本人が等級を引き継ぐ場合

・自動車を買い換えた場合
 「車両入替」という変更を行うことで、等級を継承することができます。

・自動車を新たに購入した場合(はき出された自動車)
 自動車を新たに購入した場合、新たに購入した自動車に等級を継承することができます。
 例えば、もともと自動車(A)に10等級の保険をつけていました。新たに自動車(B)を購
 入した場合、そのままであれば、自動車(B)に6等級の自動車保険をかけますが、もとも
 と自動車(A)につけていた保険を自動車(B)の契約に継承し、自動車(A)に6等級の契
 約をつけることもできます。

※自動車(B)の保険の方が高額の場合には、この方法を使うと掛け金を安く抑えられます。

 

同居の親族への等級継承

記名被保険者本人またはその配偶者の同居の親族には等級の継承が可能です。
同居でなければ、等級の継承はできないため、結婚などにより別居が予定されている場合には、事前に継承を行なう必要があります。

また、子供が免許を取得したばかりの際に、この制度を使って親の等級を子供に継承することを行なう方も多くいます。
若年層の保険料は高くなるため、高い等級を子供に渡すことで全体の負担を減らすことが可能になります。

  

等級に絡む3つの特則

中断特則

被保険自動車の廃車・譲渡や海外渡航など、一時的に被保険自動車を所有または使用しなくなった場合に適用できる制度です。この特則により、保険契約を中断しても一定条件を満たす場合には、中断後の保険契約に対して、中断前の保険契約のノンフリート等級を適用することができます。

中断特則の受けるためには、「中断証明書」の発行が必要になりますので、中断の際に保険会社に申し出てください。

 

ノンフリート保険期間通算特則

保険期間の中途で保険契約を解約して新契約を引き受ける場合に、ノンフリート等級の進行や事故有係数適用期間の減少が遅れるデメリットを回避することができる特則です。

  

ノンフリート等級継承期間の延長に関する特則

保険契約者の長期入院等やむを得ない事由が発生して、契約の継続ができなかった場合、前契約の満期日から180日以内に手続きを行なうことを条件に、満期に継続した場合と同様のノンフリート等級および事故有係数適用期間を継承できる特則です。

  

まとめ

以上が自動車保険のノンフリート等級の概要です。等級制度を正確に理解することで保険料(掛け金)の削減を行えます。しかし、すべてを理解するのは難しいと思いますので、分からないことがありましたら、お付き合いのある保険会社や代理店にご連絡いただければと思います。

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