自動車保険(個人向け)

人身傷害補償保険っていくらもらえる?3000万円?5000万円?計算方法は?

投稿日:2020年5月31日 更新日:

2020年4月改定版(法定利率改定を反映)

「人身傷害補償保険」は、自動車に乗っているご本人やご家族がケガをしたり、亡くなった場合に保険金を受け取れる「身体の保険」です。

最大の特徴は、「実損害払い」になっている点です。つまり、実際に被った損害が払われるという大変合理的な保険です。言い換えると、1日入院したら、5,000円もらえるというような、皆さまにも馴染みのある「定額払い」の保険ではないということです。

「実損害払い」であるからこそ、逆に、いくら払われるのかが、一般の方には分かりづらくなっています。

このページでは、何度も「人身傷害補償保険」の事故案件を扱っている著者が、その経験を活かして、素人の方でも分かるように解説します。

 

人身傷害補償保険とは

「人身傷害補償保険」は、自動車に乗っているご本人やご家族がケガをしたり、亡くなった場合に保険金を受け取れる「身体の保険」です。

ケガに対する治療費(入院・通院に伴う費用も含みます)だけではなく、休業損害、逸失利益、慰謝料についても補償の対象になります。

車外事故を補償するプランに加入されれば、自動車に乗っている時だけではなく、歩行中や自転車運転中に他の自動車と事故を起こした場合も補償の対象になります。

ここで、「では、いくらの補償の保険に加入しておけば良いの?」という疑問が思い浮かんだのではないでしょうか。次に解説していきます。

 

補償額はいくらにすべきでしょうか?
3,000万円?5,000万円?1億円?無制限?

前述の通り、「人身傷害補償保険」は、ケガに対する治療費だけではなく、休業損害、逸失利益、慰謝料についても補償の対象になります。ですので、被保険者の「年齢」や「収入(現在の金額および将来の見込みも含める)」や「扶養者の人数」などの要素で保険金の額を算定します。

保険会社が提示している損害額を参考にする

保険会社はそれぞれ有職者(ただし、70歳を除きます。)の平均的な損害額をホームページやパンフレットに掲載していますので、そちらを参考にご自身の予測損害額を算出します。

なお、実際の損害額は収入やご家族の構成、事故日時点の法定利率などにより異なります。特に、2020年4月に法定利率が変わっているため、改定前よりも大幅に金額が大きくなっています。

東京海上日動

年齢別の人身傷害補償保険の損害額一覧は以下の通りです。
有識者(75歳以上を除く)の平均的な損害額です。

年齢被扶養者の有無死亡された場合重度後遺障害の場合
25歳1億円2億円
25歳8,000万円2億円
35歳9,000万円1億8,000万円
35歳7,000万円1億8,000万円
45歳9,000万円1億6,000万円
45歳7,000万円1億6,000万円
55歳7,000万円1億3,000万円
55歳5,000万円1億3,000万円
65歳5,000万円1億円
65歳4,000万円9,000万円
75歳3,000万円6,000万円
75歳3,000万円6,000万円
出典「トータルアシスト自動車保険パンフレット」

 

損害保険ジャパン

年齢別の人身傷害補償保険の損害額一覧は以下の通りです。
有識者(70歳以上を除く)の平均的な損害額です。

年齢被扶養者の有無死亡された場合重度後遺障害の場合
20歳8,000万円1億9,000万円
30歳1億円1億7,000万円
40歳9,000万円1億6,000万円
50歳7,500万円1億3,000万円
60歳5,500万円9,500万円
70歳2,500万円4,000万円
出典「THE クルマの保険パンフレット」

 

三井住友海上

年齢別の人身傷害補償保険の損害額一覧は以下の通りです。

年齢被扶養者の有無死亡された場合
25歳1億円
25歳9,000万円
35歳1億円
35歳8,000万円
45歳9,000万円
45歳6,500万円
55歳7,000万円
55歳5,000万円
60歳6,000万円
60歳4,500万円
出典「GKクルマの保険パンフレット」

 

あいおいニッセイ同和

年齢別の人身傷害補償保険の損害額一覧は以下の通りです。

年齢被扶養者の有無死亡された場合重度後遺障害の場合
25歳有(1名)1億円2億1,000万円
25歳8,000万円2億1,000万円
35歳有(2名)9,000万円1億9,000万円
35歳7,000万円1億9,000万円
45歳有(2名)9,000万円1億7,000万円
45歳7,000万円1億7,000万円
55歳有(2名)7,000万円1億4,000万円
55歳6,000万円1億4,000万円
65歳有(1名)5,000万円1億円
65歳4,000万円1億円
出典「タフクルマの保険パンフレット」

各保険会社、上記のような年令別の一覧をパンフレットに掲載されています。
保険会社毎に計算のロジックが若干異なるために、差が発生しています。

  

人身傷害補償保険における損害額の計算方法(死亡の場合)

前述の通り、人身傷害損害保険の損害額は保険会社毎に若干異なっています。この損害額、自動車保険の約款(様々な条項が小さい字で書いてある冊子)を読み解くことによって、算出可能です。しかし、なかなか細かい内容ですので、素人にとっては難しい作業かもしれません。

以下のようにわかりやすくまとめました。 

 

全体の計算方法

死亡時の損害額の全体の算出式は以下の通りです。

『死亡時の損害』=「葬儀費」+「逸失利益」+「精神的損害

では、上記の算式の3つの構成要素「葬儀費」と「逸失利益」と「精神的損害」について、一つずつ見ていきましょう。

 

葬儀費

葬儀費は一般的には「60万円」となっています。

ただし、60万円を超えた場合には、証拠書類を用意することで最大100万円まで、実費で支払われます。

 

逸失利益

逸失利益とは、生きていれば得られたはずの収入になります。

逸失利益の計算方法は下の通り、現在の職業などによって異なります。

職業など計算式(2つある場合は、いずれか高い金額を採用します)
労働者①逸失利益={ 現実収入額年 − 生活費 }×ライプニッツ係数
②逸失利益={ 年齢別平均給与 − 生活費 }×ライプニッツ係数
家事従事者逸失利益={ 全年齢平均給与 − 生活費 }×ライプニッツ係数
幼児・児童・生徒・学生逸失利益={ 全年齢平均給与 − 生活費 }×ライプニッツ係数
異常なく働く意思と能力がある無職者逸失利益={ 18歳平均給与額 − 生活費 }×ライプニッツ係数
逸失利益={ 年齢別平均給与額の50% − 生活費 }×ライプニッツ係数

つまり、「逸失利益」は、「収入(給与)」から「生活費(コスト)」を引いた値に、就労可能年数の「ライプニッツ係数」を掛けて導き出されます。

では、「収入(給与)」「生活費(コスト)」「ライプニッツ係数」について、それぞれ解説していきます。

収入(給与)

  1. 家事従事者以外の有識者(一般的に働いている人)
  2. 家事従事者
  3. 幼児・児童・生徒・学生
  4. 異常なく働く意思と能力がある無職者

1以外は、実際に収入がないため、今後得るであろう収入の金額を予測して算出する形となります。

生活費

生活費は、被扶養者の人数に応じて収入(給与)に対して下の割合の額で算出します。

被扶養者の人数割合
なし50%
1人40%
2人35%
3人以上30%

生活費 = 収入(給与) × 上記の表の割合

という形で生活費の算出を行ないます。

ライプニッツ係数(就労可能年数のライプニッツ係数)

ライプニッツ係数は、保険会社が一覧を公開しています。このライプニッツ係数の一覧表から、ご自分の年齢・性別を探し、その係数を使用します。なお、2020年4月に法定利率が改定(5%から3%に変更)になった結果、係数が変更になっています。

この計算で使うのは、就労可能年数のライプニッツ係数です。現在、就労可能年齢は67歳になっています。例えば、36歳の方でしたら、67歳まで働くことができるとして、就労可能年数は31年になります。そして、31年のライプニッツ係数は、表で探すと「20.000」になります。

 

精神的損害

被保険者の属性に応じて、以下の3パターンに分けられます。

被保険者の属性金額
①被保険者が一家の支柱である場合2000万円
②被保険者が65歳以上で、かつ、上記①以外である場合1500万円
③被保険者が上記①および②以外の場合1600万円

 

このように算出した「葬儀費」、「逸失利益」、「精神的損害」を加算して『死亡時の損害』を算出します。

『死亡時の損害』=「葬儀費」+「逸失利益」+「精神的損害

 

計算例① 25歳(年収350万円未婚)の場合

葬儀費

葬儀費 = 60万円

逸失利益

逸失利益 = (現実収入額 − 生活費) × ライプニッツ係数
     = (350万円 − 175万円) × 23.7013
     = 4,148万円(万円以下を四捨五入)
     ※扶養家族がいないため、収入の半分が生活費になります。
     ※ライプニッツ係数は67−年齢のものを使用します。

精神的損害

精神的損害 = 1600万円
     ※その他の属性になります。

合計

合計 = 「葬儀費」 + 「逸失利益」 + 「精神的損害」
   = 5,808万円

 

計算例② 38歳男性(年収700万円、妻と子2人)の場合

葬儀費

葬儀費 = 60万円

逸失利益

逸失利益 = (現実収入額 − 生活費) × ライプニッツ係数
     = (700万円 − 210万円) × 19.1884
     = 9,402万円(万円以下を四捨五入)
     ※扶養家族がいないため、収入の半分が生活費になります。
     ※ライプニッツ係数は67−年齢のものを使用します。

精神的損害

精神的損害 = 2000万円
     ※その他の属性になります。

合計

合計 = 「葬儀費」 + 「逸失利益」 + 「精神的損害」
   = 1億1,522万円

 

人身傷害補償保険における損害額の計算方法(後遺障害の場合)

続きまして、後遺障害の場合の計算を見ていきます。

全体の計算方法

後遺障害が残った際の損害額の全体の算出式は以下の通りです。

『後遺障害の損害』=「逸失利益」+「精神的損害」+「介護料など」

では、上記の算式の3つの構成要素「逸失利益」と「精神的損害」と「介護料など」について、一つずつ見ていきましょう。

 

逸失利益

後遺障害が残ったことによって、労働ができなかったり、できる労働の幅が狭まったりします。将来得られるはずだった経済的利益の損失部分のことを「逸失利益」と言います。

逸失利益の計算方法は下の通り、現在の職業などによって異なります。

職業など計算式(2つある場合は、いずれか高い金額を採用します)
労働者①逸失利益={ 現実収入額年 × 労働能力喪失率 }×ライプニッツ係数
②逸失利益={ 年齢別平均給与 × 労働能力喪失率 }×ライプニッツ係数
家事従事者逸失利益={ 全年齢平均給与× 労働能力喪失率 }×ライプニッツ係数
幼児・児童・生徒・学生逸失利益={ 全年齢平均給与 × 労働能力喪失率 }×ライプニッツ係数
異常なく働く意思と能力がある無職者逸失利益={ 18歳平均給与額 × 労働能力喪失率 }×ライプニッツ係数
逸失利益={ 年齢別平均給与額の50% × 労働能力喪失率 }×ライプニッツ係数

つまり、「逸失利益」は、「収入(給与)」に「労働能力喪失率」をかけた値に、就労可能年数の「ライプニッツ係数」を掛けて導き出されます。死亡の時とは異なり、今後も生きていくことを前提にするため、「生活費」を差し引きません。

「労働能力喪失率」および「労働能力期間」は、障害の部位程度、被保険者の年齢、現実の減収額、将来の収入の見込みなどを総合的に勘案して算出されます。

 

精神的損害

被害者の後遺障害の重さに応じて、以下の表の区分に分けられます。

第1級1,600万円
第2級1,300万円
第3級1,100万円
第4級900万円
第5級750万円
第6級600万円
第7級500万円
第8級400万円
第9級300万円
第10級200万円
第11級150万円
第12級100万円
第13級60万円
第14級40万円

 

介護料など

後遺障害の重度に応じて、毎月16万円また8万円のいずれかが払われます。また、その他に、社会通念上妥当な金額を実費で払われます。(500万円限度)

 

まとめ

扶養家族の人数が多い場合、特にお子さんの養育費がかかることを前提にすると「無制限」に加入することが必要になります。少なくとも、上記の計算をしてみて、必要な補償の額を算定してみると、「3,000万円」や「5,000万円」では足りないことが分かります。これを機会に一度十分な金額で加入されているかご確認をした方がよろしいと思います。

 

-自動車保険(個人向け)

執筆者:


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