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PL保険(生産物賠償責任保険)とは

投稿日:2020年6月13日 更新日:


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PL保険(生産物賠償責任保険)は、製造したモノや仕事の結果に欠陥があったことによってお客様等に損害(ケガを負わせたり、お客様のモノを壊すなどの損害)を与えてしまった場合の賠償責任を補償する保険です。

1995 年に製造物責任法(PL 法)が施行され、企業が製造物の欠陥により損害賠償責任を負わされる可能性が高まりました。

具体的には、PL法施行前では、被害者つまり、製造物によって損害を受けたお客様の方が、製造物によって損害を受けたことを証明しなければなりませんでした。しかし、PL法施行後は、逆に製造企業が製造物によって損害をもたらした訳ではないことを証明しなければならなくなりました。このことで、消費者はPL訴訟を起こしやすくなったということです。

このページでは、PL保険(生産物賠償責任保険)の内容について、注意点を挙げながら解説します。

加入すべき業種

PL保険(生産物賠償責任保険)に加入しなければならないのは、「モノを製造する業種の会社」です。一般的には、飲食業、製造業、工事業などです。

それぞれ以下のような事故が発生しています。

飲食店提供した飲食物が原因で食中毒になった。
製造業製造した製品に欠陥があったため、お客様がケガをされた。
工事業電気の工事の不具合で引き渡し後に火事になった。

このような業種の企業は、必ずPL保険(生産物賠償責任保険)に加入すべきです。

意外と加入していない業種

輸入業者

PL法は日本国内に課されている法律であるため、輸入業者は製造物責任を負わされます。輸入したもので被害にあった消費者が、わざわざ海外のメーカーを訴えるのは実務的に難しいため、輸入業者にこの責任を課しています。そうすることで、消費者は輸入業者を訴えればよくなっています。最終的には、輸入業者も海外の業者を訴えれば良いのですが、訴訟対応などをしなければならないことを考えると、PL保険(生産物賠償責任保険)に加入しておくべきです。

部品メーカー

完成品メーカーがPL保険(生産物賠償責任保険)に加入しているため、部品メーカーは加入しなくても良いと思っている企業もいます。確かに、消費者は完成品メーカーを通常訴えます。しかし、その部品が原因で事故が発生していたとしたら、消費者との訴訟後に、完成品メーカーが部品メーカーを訴えてくる可能性はあります。かつては、自動車メーカーをはじめ部品メーカーをかばうような動きがありましたが、現在の情報社会では企業ブランドの低下を懸念し、部品メーカーを訴えることは少なくありません。

修理業者

修理業者は製造はしていないので、PL保険(生産物賠償責任保険)に加入する必要はないように思えます。しかし、修理した部分が原因で、事故が発生した場合には、修理業者が責任を問われます。PL保険(生産物賠償責任保険)はこのような修理業者のリスクも対象になっています。

 

PL保険(生産物賠償責任保険)の内容

法律上の損害賠償金

基本補償として、法律上の損害賠償金に相当する保険金を受け取れます。これは、裁判で確定した場合はその金額、裁判ではなく和解や示談で金額が決まった場合もその額を保険金額を限度に補償してもらえます。

損害防止費用・緊急措置費用

PL保険(生産物賠償責任保険)では、損害自体を防ぐ費用や、損害の拡大を防ぐための費用を損害防止費用として受け取れます。(事前に保険会社の了承は必要です)

応急手当、護送その他緊急措置に要した費用を緊急措置費用として受け取れます。(事前に保険会社の了承は必要です)

権利保全行使費用

これは字面からはイメージしにくいので、具体的な事例でお伝えするのが良いでしょう。工事業者の場合と、販売業者の場合に分けてお伝えしましょう。

争訟費用

弁護士の相談費用、着手金、成功報酬などの費用や文書作成費用など訴訟や調停、和解に要した費用を受け取れます。

 

オススメの特約(オプション)

PL保険(生産物賠償責任保険)では、基本補償の他に様々な特約(オプション)があります。保険会社で何度も事故の案件を扱っている経験より、オススメの特約を紹介したいと思います。

(物理的損傷を伴わない)使用不能損害補償特約

対人・対物事故を伴わず(誰もケガをしていない、何もモノが壊れていない)、発生した他人の財物損害を補償します。

製造物自体の損害補償特約(itself特約)

勘違いされている方が多い部分ではありますが、PL保険(生産物賠償責任保険)の補償の範囲は、製造物の欠陥によって、消費者がケガを負ったり、モノが壊れたりした場合の賠償責任であり、製造物自体の損害は補償されません。

製造物自体を補償するのが、この特約です。意外に盲点になっていますので、現在ご加入の保険で対象になっているかのご確認をオススメします。まず、「モノの欠陥による損害」ではなくモノ自体の損害です。

リコール費用補償特約

大量生産する製品に欠陥があった場合、市場に大量に出回っていますので、その旨を公表して、無料で修理・交換(リコール)しなければならなくなります。自動車のブレーキの設計ミスで事故のリスクがあって、自動車をリコールした事件など、毎日リコールの事案は発生しています。

このようにリコールに要した費用を補償するのが、「リコール費用補償特約」です。

注意点

間接輸出

通常、PL保険(生産物賠償責任保険)は国内が適用地域になっています。したがって、輸出向けの製造物に対しては、別途海外PL保険に加入する必要があります。気をつけなければならないのが、直接輸出するのではなく、別途商社などが間に入って製品が輸出される間接輸出です。

間接的に製造した製品が海外に流通するのであれば、適用地域を海外に変更したり、間接輸出した製品を補償するオプションを付帯する必要があります。

 

最後に

PL保険(生産物賠償責任保険)は、製造したモノや仕事の結果に欠陥があったことによってお客様等に損害(ケガを負わせたり、お客様のモノを壊すなどの損害)を与えてしまった場合の賠償責任を補償する保険です。

ひとえにPL保険(生産物賠償責任保険)と言えど、様々なオプションが現在ありますので、必要な補償があるかのご確認をこのタイミングでしていただければと思います。

  

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