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このページでは、事業者の講ずべき措置等について解説します。労働者の危険又は健康障害(危害)を防止するための措置が数多く存在します。「危害防止措置等」「作業行動から生ずる労働災害防止措置」「救護に関する措置」「危険性又は有害性等の調査等」などがあります。
危害防止措置等
危害防止のための措置(安全面の措置)
(第20条〜21条)
(法20条)事業者は、次の危険を防止するため必要な措置を講じなければならない。
一 機械、器具その他の設備(以下「機械等」という。)による危険
二 爆発性の物、発火性の物、引火性の物等による危険
三 電気、熱その他のエネルギーによる危険
(法21条)事業者は、掘削、採石、荷役、伐木等の業務における作業方法から生ずる危険を防止するため必要な措置を講じなければならない。
2 事業者は、労働者が墜落するおそれのある場所、土砂等が崩壊するおそれのある場所等に係る危険を防止するため必要な措置を講じなければならない。
上記のような危険を防止するため必要な措置(危害防止措置等)を講じなければならない。具体的には以下のような措置を行う必要があります。
①規格・安全装置を具備した機械等使用する等(則27)
②化学設備に係る建築物は不燃性の材料で造る等(則268)
③感電の危険がある電気機械器具の充電部分に囲いなどを設ける等(則329)
④ずい道等の内部の視界を保持する等(則387)
⑤墜落の危険がある箇所は立入禁止とする等(則530)
健康障害防止のための措置(衛生面の措置)
(第22条)
(法22条)事業者は、次の健康障害を防止するため必要な措置を講じなければならない。
一 原材料、ガス、蒸気、粉じん、酸素欠乏空気、病原体等による健康障害
二 放射線、高温、低温、超音波、騒音、振動、異常気圧等による健康障害
三 計器監視、精密工作等の作業による健康障害
四 排気、排液又は残さい物による健康障害
上記のような危険を防止するため必要な措置(健康障害防止措置)を講じなければならない。具体的には以下のような措置を行う必要があります。
①必要な呼吸用保護具等を備え付ける等(則593)
②有害な作業場所は立入禁止とし、その旨を表示する等(則585)
③著しい騒音を発する屋内作業について6ヶ月毎に1回定期に
騒音レベルを測定する等(則590)
作業場の環境設備(環境面の措置)(第23条)
(法23条)事業者は、労働者を就業させる建設物その他の作業場について、通路、床面、階段等の保全並びに換気、採光、照明、保温、防湿、休養、避難及び清潔に必要な措置その他労働者の健康、風紀及び生命の保持のため必要な措置を講じなければならない。
上記のような危険を防止するため必要な措置(環境面の措置)を講じなければならない。具体的には以下のような措置を行う必要があります。
①就業の途中に仮眠することができる機会があるときは、適当な仮眠
の場所を男女別に設けなければならない(則616の1)
②常時50名以上又は常時女性30名以上の労働者を使用するときは、
臥床が可能な休憩室等を男女別に設けなければならない(則618)
③労働者が有効に利用できる休憩の設備を設けるように努めなければ
ならない(則613)
④常時就業させる場所の照度を、精密な作業については、300ルクス
以上としなければならない。(則604)
③日常行う清掃の他に、大掃除及びねずみ、昆虫等の防除を、6ヶ月
以内に1回、定期に、統一的に行わなければならない(則619)
(参考)照度基準は以下のとおり
精密な作業 | 300ルクス以上 |
普通の作業 | 150ルクス以上 |
粗な作業 | 70ルクス以上 |
作業行動から生ずる労働災害防止措置等(第24条)
作業行動から生ずる労働災害防止措置(第24条)
(法24条)事業者は、労働者の作業行動から生ずる労働災害を防止するため必要な措置を講じなければならない。
例えば、重量物取扱い作業における腰痛の防止を図るための措置などである。
緊急退避措置(第25条)
(法25条)事業者は、労働災害発生の急迫した危険があるときは、直ちに作業を中止し、労働者を作業場から退避させる等必要な措置を講じなければならない。
救護に関する措置(第25条2)
(法25条2)建設業その他政令で定める業種に属する事業の仕事で、政令で定めるものを行う事業者は、爆発、火災等が生じたことに伴い労働者の救護に関する措置がとられる場合における労働災害の発生を防止するため、次の措置を講じなければならない。
一 労働者の救護に関し必要な機械等の備付け及び管理を行うこと。
二 労働者の救護に関し必要な事項についての訓練を行うこと。
三 前二号に掲げるもののほか、爆発、火災等に備えて、労働者の救護に関し必要な事項を行うこと。
2 前項に規定する事業者は、厚生労働省令で定める資格を有する者のうちから、厚生労働省令で定めるところにより、同項各号の措置のうち技術的事項を管理する者を選任し、その者に当該技術的事項を管理させなければならない。
(昭五五法七八・追加、平一一法一六〇・一部改正)
建設業のうち、ずい道等の建設の仕事又は圧気工法による作業を行う仕事で合って、一定のものを行う事業者は、爆発、火災等が生じたことに伴い労働者の救護に関する措置がとられる場合における労働災害の発生を防止するため、次の措置を講じなければならない。
①労働者の救護に関し必要な機械等の備付け及び管理
②労働者の救護に関し必要な事項についての訓練
③爆発、火災等に備えて、労働者の救護に関し必要な事項
上記の事業者は、一定の資格を有する者のうちから、救護に関する技術的事項を管理する者を選任し、その者に技術的事項を管理させなければならない。
労働者の遵守義務(第26条)
(法26条)労働者は、事業者が第二十条から第二十五条まで及び前条第一項の規定に基づき講ずる措置に応じて、必要な事項を守らなければならない。
(昭五五法七八・一部改正)
事業者が「危害防止措置等」「作業行動から生ずる労働災害防止措置」「救護に関する措置」の規定に基づき講ずる措置に応じて、労働者は、必要な事項を守らなければならない。これに違反する労働者には、罰則が適用されます。(具体的には、50万円以下の罰金に処せられる)
労働者が守らなければならない事項については、厚生労働省令に数多く定められています。例えば、次のようなものがあります。
①安全装置等を取り外し、又はその機能を失わせないこと(則29の1)
②作業帽等の着用を命じられたときは、着用すること(則110の2)
③立入禁止のされた場所にはみだりに立ち入らないこと(則585)
④クレーン等を使用する場合には、合図者は合図を行ない、運転者
は合図に従って運転すること(クレーン則25の2,3)
危険性又は有害性等の調査等(第28条2)
(法28条2)事業者は、厚生労働省令で定めるところにより、建設物、設備、原材料、ガス、蒸気、粉じん等による、又は作業行動その他業務に起因する危険性又は有害性等(第五十七条第一項の政令で定める物及び第五十七条の二第一項に規定する通知対象物による危険性又は有害性等を除く。)を調査し、その結果に基づいて、この法律又はこれに基づく命令の規定による措置を講ずるほか、労働者の危険又は健康障害を防止するため必要な措置を講ずるように努めなければならない。ただし、当該調査のうち、化学物質、化学物質を含有する製剤その他の物で労働者の危険又は健康障害を生ずるおそれのあるものに係るもの以外のものについては、製造業その他厚生労働省令で定める業種に属する事業者に限る。
2 厚生労働大臣は、前条第一項及び第三項に定めるもののほか、前項の措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るため必要な指針を公表するものとする。
3 厚生労働大臣は、前項の指針に従い、事業者又はその団体に対し、必要な指導、援助等を行うことができる。
(平一七法一〇八・追加、平二六法八二・一部改正)
危険性又は有害性等に係る調査(リスクアセスメント)を行ない、その結果に基づいてリスクの低減措置を講ずることを事業者の努力義務とします。
事業者は、建設物、設備、原材料、ガス、蒸気、粉じん等による、又は作業行動その他業務に起因する危険性又は有害性等を調査し、その結果に基づいて、労働安全衛生法又はこれに基づく命令の規定による措置を講ずるほか、労働者の危険又は健康障害を防止するため必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
指針の公表
厚生労働大臣は、危険性又は有害性等の調査等に関する指針を公表するものとされており、当該指針に従い、事業者又はその団体に対し、必要な指導、援助を行うことができる。
リスクアセスメントを促進するための制度として以下のものがあります。
機械に関する危険性等の通知の努力義務 |
危険有害化学物質などに関する危険性・有害性等の表示・文書交付の努力義務 |
労働基準監督署長が認定した事業者の計画の届出の免除 |
対象となる事業者等(第28条2,則24の11)
①下記②以外の調査 (幅広い事項のリスクアセスメント) | 製造業など安全管理者を 選任すべき業種 |
②化学物質、化学物質を含有する製剤その他 の物で労働者の危険又は健康障害を生ずる おそれのあるものに係る調査 | 全業種の事業者 |
調査の時期(第28条2,則24の11)
①建設物を設置し、移転し、変更し、又は解体するとき ②設備、原材料等を新規に採用し、又は変更するとき ③作業方法又は作業手順を新規に採用し、又はは変更するとき ④上記のほか、危険性又は有害性等に変化が生じ、又は生ずるおそれがあるとき |
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