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【社労士試験】労働安全衛生法28(安全衛生教育【雇入れ時・作業内容変更時の安全衛生教育・特別教育・職長等教育・危険有害業務に現に就いている者の教育】)

投稿日:2021年1月4日 更新日:


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労働災害防止のために、実際に職場で働く労働者の安全衛生に関する知識や経験不足を補うことが重要です。労働安全衛生方では、特に安全衛生教育として、①雇入れ時の安全衛生教育、②作業内容変更時の安全衛生教育、③特別教育、④職長等教育、⑤危険有害業務に現に就いている者の教育を設けています。このページでは、これらの安全衛生教育について解説します。

 

雇入れ時・作業内容変更時の安全衛生教育(59条①②)

(59条①②)
事業者は、労働者を雇い入れたときは、当該労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、その従事する業務に関する安全又は衛生のための教育行なわなければならない
2 前項の規定は、労働者の作業内容を変更したときについて準用する。

●雇入れ時・作業内容変更時の安全衛生教育の内容

・対象業種

全業種

・対象労働者

すべての労働者(臨時に使用される者も含む)

・教育事項

①機械等、原材料等の危険性・有害性と取扱方法
②安全装置、有害物抑制装置又は保護具の性能と取扱方法
③作業手順
④作業開始時点検
⑤業務関連疾患の原因及び予防
⑥整理、整頓及び清潔の保持
⑦事故時等における応急措置及び退避
⑧その他の必要な事項

※一般事業所の安全衛生管理体制における「その他の業種」の事業場の労働者
 は、①〜④の教育を省略できます。
※教育事項の全部又は一部に関し十分な知識及び技能を有する労働者は、その
 事項の教育を省略
できます。
記録の保存義務はありません

○出題ポイント

❶対象はすべての労働者です。臨時に使用される者も含まれす。
❷教育事項の全部又は一部に関し十分な知識及び技能を有する労働者
 は、その事項の教育を省略できます。
❸派遣労働者については、
 ①雇入れ時の安全衛生教育は派遣元の事業者のみ
 ②作業内容変更時の安全衛生教育は派遣元及び派遣先の事業者両方
 が実施の責任義務を負います。

 

特別教育(59条③)

(59条③)
3 事業者は、危険又は有害な業務で、厚生労働省令で定めるものに労働者をつかせるときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該業務に関する安全又は衛生のため特別の教育を行なわなければならない。

●特別教育の内容

・対象労働者

下記の危険有害業務に就かせる労働者のみ

・対象業務

1動力プレスの金型、シャーの刃部又はプレス機械・シャーの安全装置・安全囲いの取付け、取外し又は調整の業務
2アーク溶接機を用いて行う金属の溶接、溶断等の業務
3最大荷重 1 トン未満のフォークリフト運転業務(他に道交法適用有り)
4最大荷重 1 トン未満の不整地運搬車運転業務(他に道交法適用有り)
5作業床の高さ 10m 未満の高所作業車の運転業務
6小型ボイラー取扱業務
7つり上げ荷重 5 トン未満のクレーン・デリックの運転業務
8つり上げ荷重 1 トン未満移動式クレーンの運転業務
9玉掛業務(1 トン未満のクレーン、移動式クレーン及びデリック)
10建設用リフトの運転業務・ゴンドラの操作業務、高圧室内作業
11廃棄物焼却施設の焼却炉、集じん機等の設備の保守点検等の業務
※業種は問いません。
※51業種

・教育事項

教育事項・教育時間については、業種の種類に応じて、厚生労働大臣が定めます。

※教育事項の全部又は一部に関し十分な知識及び技能を有する労働者は、その
 科目の教育を省略
できます。
記録の保存:特別教育の受講者、科目等の記録を作成して、3年間保存
       しなければなりません。

○出題ポイント

❶特別教育修了者に対する修了証明書等の交付義務はありません
❷派遣労働者についての特別教育は、派遣先の事業者のみが実施義務
 を負います。
❸企業外の講習会等に労働者を参加させることにより行うこともでき
 ます
。この場合の講習会費、講習旅費等は事業者が当然に負担すべ
 きものとされています。
 (労働時間と解されるため、賃金を支払う必要があります)

職長等教育(60条)

(60条)
事業者は、その事業場の業種が政令で定めるものに該当するときは、新たに職務につくこととなつた職長その他の作業中の労働者を直接指導又は監督する者(作業主任者を除く。)に対し、次の事項について、厚生労働省令で定めるところにより、安全又は衛生のための教育を行なわなければならない。
一 作業方法の決定及び労働者の配置に関すること。
二 労働者に対する指導又は監督の方法に関すること。
三 前二号に掲げるもののほか、労働災害を防止するため必要な事項で、厚生労働省令で定めるもの
(平一一法一六〇・一部改正)

●職長等教育の内容

・対象労働者

新たに職務につくこととなつた職長その他の作業中の労働者を直接指導又は監督する者(作業主任者を除く。)

・対象業種

建設業   ②製造業の一部   ③電気業
④ガス業   ⑤自動車整備業   ⑥機械修理業

・対象業務

1作業方法の決定及び労働者の配置(2時間)
2労働者に対する指導又は監督の方法(2.5時間)
3危険性又は有害性の調査等(4時間)
4異常時等における措置(1.5時間)
5その他労働災害防止活動(2時間)

※教育事項の全部又は一部に関し十分な知識及び技能を有する労働者は、その
 事項の教育を省略
できます。
記録の保存義務はありません

○出題ポイント

❶労働災害の発生状況等を考慮して、対象業務を6つに限定
(林業、鉱業、運送業、清掃業等は含まれていません
❷職長等が新たに職務に就く際にのみ行えば良く、職務内容を変更
 する際には行う必要はありません
❸派遣労働者についての職長等教育は、派遣先の事業者のみが実施
 義務を負います。

 

職長等教育(60条)

(60条の2①)
事業者は、前二条に定めるもののほか、その事業場における安全衛生の水準の向上を図るため、危険又は有害な業務現に就いている者に対し、その従事する業務に関する安全又は衛生のための教育を行うように努めなければならない

・国の援助

(63条)
国は、事業者が行なう安全又は衛生のための教育の効果的実施を図るため、指導員の養成及び資質の向上のための措置教育指導方法の整備及び普及、教育資料の提供その他必要な施策の充実努めるものとする。
第七章 健康の保持増進のための措置(昭六三法三七・改称)

 

 

 

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