基礎知識(Basic)

BASIC(基礎知識)⑧労働関連(働き方改革/三六協定/パワハラ)

投稿日:2020年8月20日 更新日:


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日経TESTの5つの評価軸の1つのBASIC(基礎知識)の部分で出題されるのが、「労働関連」です。このページでは「労働関連」についてよく主題される部分について解説していきます。

日経TESTに関しては、以下のリンク先をご確認ください。

 

働き方改革とは

政府の重要政策のひとつに位置づけられていて、多様な働き方を可能にする社会を目指しています。
日本の人口は2008年をピークに減少に転じています。人口が減れば、労働力不足となります。この労働力不足を解消させる為、働き手を増やし、出生率を上昇させ、労働生産性を向上させる必要があります。これを実施させようとする政策が「働き方改革」です。

働き方改革実現進会議が提出した働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律(働き方改革関連法)が2018年6月29日に可決・成立し、2019年4月から施行されました。

この法律は、以下の3つが柱になっています。
・「長時間労働の是正
・「正規・非正規の不合理な処遇差の解消
・「多様な働き方の実現

厚生労働省では、上記の3つの柱を持つ「働き方改革」の実現に向けて、下記の7つを具体的な取組みとして挙げています。

(1)非正規雇用の待遇差改善
(2)長時間労働の是正
(3)柔軟な働き方ができる環境づくり
(4)ダイバーシティの推進
(5)賃金引き上げと労働生産性向上
(6)再就職支援と人材育成
(7)ハラスメント防止対策

勤務間インターバル

「勤務間インターバル」は、勤務終了後、一定時間以上の「休息時間」を設けることで、働く方の生活時間や睡眠時間を確保するものです。2018年6月29日に成立した「働き方改革関連法」に基づき「労働時間等設定改善法」が改正され、前日の終業時刻から翌日の始業時刻の間に一定時間の休息を確保することが事業主の努力義務として規定されました(2019年4月1日施行)。導入した中小企業向けの助成金もあります。

 

労働基準に関する法制度

①労働基準法

昭和22年制定。労働条件に関する最低基準を定めています。
賃金の支払の原則:直接払、通貨払、全額払、毎月払、一定期日払
労働時間の原則 :週40時間、1日8時間
 ※違反した場合「6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金」の刑事罰
 ※36(サブロク)協定:従業員と締結し、労働基準監督署に提出することで、
  使用者は刑事罰を受けなくて済む。
時間外・休日労働:労使協定の締結
割増賃金:時間外・深夜2割5分以上、休日3割5分以上
解雇予告:労働者を解雇しようとするときは30日以上前の予告又は30日分以
     上の平均賃金の支払
有期労働契約:原則3年、専門的労働者は5年
この他、年次有給休暇就業規則等について規定しています。

○ 労働基準法の改正
長時間労働の抑制を目的とした労働基準法の一部を改正する法律が第170回国会で成立し、平成22年4月1日から、1か月60時間を超える時間外労働の割増賃金率は5割に引き上げられました(中小企業には当分の間適用を猶予)

特別条項付きの36協定を結んでも上限は年720時間になりました。

②最低賃金法

昭和34年労働基準法から派生。賃金の最低額を定める法律です。
地域別最低賃金:各都道府県ごとに、産業や職種を問わず、すべての労働者及び
        使用者に適用されます。
        平成21年度全国加重平均時間額:713円
特定(産業別)最低賃金:原則、都道府県内の特定の産業について決定
            されます。
平成21年度は全国で250件が設定され、全国加重平均時間額は789円です。

③労働安全衛生法

昭和47年労働基準法から派生。
(1)危険防止基準の確立
(2)責任体制の明確化及び
(3)自主的活動の促進等により、
職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進することを目的としています。

④労働者災害補償保険法

昭和22年制定。
業務上の事由又は通勤による労働者の負傷、疾病、障害、死亡等に対して必要な保険給付等を行うことを目的としています。

⑤労働契約法

平成20年3月1日施行。
就業形態が多様化し、労働条件が個別に決定されるようになり、個別労働紛争が増加しています。そこで、紛争の未然防止や労働者の保護を図るため、労働契約についての基本的なルールをわかりやすく明らかにしたものです。

雇用調整助成金(コロナ特例)

雇用調整助成金とは、「新型コロナウイルス感染症の影響」により、「事業活動の縮小」を余儀なくされた場合に、従業員の雇用維持を図るために、「労使間の協定」に基づき、「雇用調整(休業)」を実施する事業主に対して、休業手当などの一部を助成するものです。

支給対象となる事業主

新型コロナウイルス感染症に伴う特例措置では、以下の条件を満たす全ての業種の事業主を対象としています。

1.新型コロナウイルス感染症の影響により経営環境が悪化し、事業活動が縮小している
2.最近1か月間の売上高または生産量などが前年同月比5%以上減少している(※)
 ※比較対象とする月についても、柔軟な取り扱いとする特例措置があります。
3.労使間の協定に基づき休業などを実施し、休業手当を支払っている

助成対象となる労働者

事業主に雇用された雇用保険被保険者に対する休業手当などが、「雇用調整助成金」の助成対象です。
学生アルバイトなど、雇用保険被保険者以外の方に対する休業手当は、「緊急雇用安定助成金」の助成対象となります。(雇用調整助成金と同様に申請できます)

助成額と助成率、支給限度日数

(平均賃金額(※) × 休業手当等の支払率)× 下表の助成率 
           (1人1日あたり15,000円が上限)
※平均賃金額の算定について、小規模の事業所(概ね20人以下)は簡略化する特例措置を実施しています。

区分大企業中小企業 ※1
新型コロナウイルス感染症の影響を受ける事業主2/34/5
解雇をしていないなどの上乗せの要件を満たす事業主3/410/10

※1 中小企業とは、以下の要件に該当する企業をいいます。
 ・小売業(飲食店を含む): 資本金5,000 万円以下 または従業員 50 人以下
 ・サービス業: 資本金5,000 万円以下 または従業員 100 人以下
 ・卸売業: 資本金1億円以下 または従業員 100 人以下
 ・その他の業種: 資本金3億円以下 または従業員 300 人以下

本助成金の支給限度日数は原則として1年間で100日分、3年で150日分ですが、緊急対応期間中(令和2年4月1日~令和2年9月30日)に実施した休業などは、この支給限度日数とは別に支給を受けることができます。

 

ジョブ型雇用導入

都市部を中心に新型コロナウイルス禍でテレワークなどの多様で柔軟な働き方が普及しています。2021年はそれを定着させる年とすることを目標としている企業も多くいます。多くの企業で「ジョブ型雇用」の運用が始まり、生産性向上イノベーションの便益を得るための挑戦が加速すると言われています。いかに個人のやる気を引き出す仕組みを作れるか、アフターコロナの「働きがい改革」の重要なポイントになります。

日本では従来、職務内容を限定せずジョブローテーションを通じて幅広い業務を経験させる「メンバーシップ型雇用」が一般的でした。定年まで雇用は保障される一方、会社から命じられる異動や転勤は拒めませんでした。大量生産の製造業などと親和性が高く、企業が柔軟な人材戦略を組めるメリットはあったが、働き手の主体性は損なわれ熱意を失う人も少なくありませんでした。

米リンクトインは20年2月、世界22カ国の3万人超の働き手に実施した意識調査の結果を発表しました。人生の成功のために重要と考えることは世界では「一生懸命働くこと」(81%)や「変化を許容すること」(80%)、「人とのつながり」(76%)がトップ3を占めたが、日本では「一生懸命働くこと」(72%)に次いで「幸運」(66%)や「機会の均等」(62%)が多い結果になりました。仕事に求めるものとして「自分が好きなことができる」を挙げた人の比率も、世界平均の40%に対して日本は29%にとどまっています。

このような背景で、あらかじめ職務内容や職責を規定した職務定義書(ジョブディスクリプション)を策定し成果に基づき評価する仕組みである「ジョブ型雇用」に移行する企業が増えてきています。

-基礎知識(Basic)

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