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このページでは、「労働災害防止計画」のについてまとめました。「労働災害防止計画」は厚生労働省が策定されるもので、事業者が策定する「安全衛生改善計画」とは似て非なるものです。
労働災害防止計画
「労働災害防止計画」は厚生労働省が策定し、その計画にのっとって各種施策が実施されます。「労働災害防止計画」とは、労働災害を減少させるために国(厚生労働省)が重点的に取り組む事項を定めた中期計画です。
労働災害防止計画の策定(第6条)
(法6条)厚生労働大臣は、労働政策審議会の意見をきいて、労働災害の防止のための主要な対策に関する事項その他労働災害の防止に関し重要な事項を定めた計画(以下「労働災害防止計画」という。)を策定しなければならない。(平一一法一六〇・一部改正)
労働政策審議会とは、労働政策や健康管理その他に関する重要事項を調査審議し、厚生労働大臣等に意見を述べる諮問機関です。
ここでは、「労働災害防止計画」は厚生労働省が策定することが定めれています。
労働災害防止計画の変更(第7条)
(法7条)厚生労働大臣は、労働災害の発生状況、労働災害の防止に関する対策の効果等を考慮して必要があると認めるときは、労働政策審議会の意見をきいて、労働災害防止計画を変更しなければならない。(平一一法一六〇・一部改正)
「労働災害防止計画」の変更の際にも、労働政策審議会の意見を聞いて、厚生労働大臣(厚生労働省)が行なうことを定めています。
労働災害防止計画の公表(第8条)
(法8条)厚生労働大臣は、労働災害防止計画を策定したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。これを変更したときも、同様とする。(平一一法一六〇・一部改正)
「労働災害防止計画」の策定・変更の際に、厚生労働大臣(厚生労働省)は速やかに公表しなければならないことを定めています。
なお、「公表」とは、計画の内容を広く一般に対して明らかに数ることを言います。通常は、官報に掲載することにより行われます。
現在は、第13次労働災害防止計画(2018年度~2022年度)が公表されてます。以下の内容を目指した計画になっています。
第13次労働災害防止計画が目指す社会
「一人の被災者も出さないという基本理念の下、働く方々の一人一人がより良い将来の展望を持ち得るような社会」
働く方々の一人一人がかけがえのない存在であり、それぞれの事業場において、日々の仕事が安全で健康的なものとなるよう、不断の努力が必要です。
また、一人一人の意思や能力、そして置かれた個々の事情に応じた、多様で柔軟な働き方を選択する社会への移行が進んでいく中で、従来からある単線型のキャリアパスを前提とした働き方だけでなく、正規・非正規といった雇用形態の違いにかかわらず、副業・兼業、個人請負といった働き方においても、安全や健康が確保されなければなりません。
さらに、就業構造の変化等に対応し、高年齢労働者、非正規雇用労働者、外国人労働者、障害者である労働者の安全と健康の確保を当然のこととして受け入れていく社会を実現しなければなりません。
勧告等(第9条)
(法9条)厚生労働大臣は、労働災害防止計画の的確かつ円滑な実施のため必要があると認めるときは、事業者、事業者の団体その他の関係者に対し、労働災害の防止に関する事項について必要な勧告又は要請をすることができる。(平一一法一六〇・一部改正)
「勧告」と「要請」の違い
勧告 | 説き勧めること。行政指導の一種。拘束力はない。 |
要請 | 実現を願い求めること。行政指導の一種。拘束力はない。 |
快適な職場環境の形成のための措置
労働者が疲労、ストレスを感じることの少ない働きやすい職場環境を実現することは、労働者の健康の確保や人的ミスによる事故の防止につながる。
事業者の講ずる措置(第71条の2)
(法71条2)事業者は、事業場における安全衛生の水準の向上を図るため、次の措置を継続的かつ計画的に講ずることにより、快適な職場環境を形成するように努めなければならない。
一 作業環境を快適な状態に維持管理するための措置
二 労働者の従事する作業について、その方法を改善するための措置
三 作業に従事することによる労働者の疲労を回復するための施設又は設備の設置又は整備
四 前三号に掲げるもののほか、快適な職場環境を形成するため必要な措置
事業者に対して、安全衛生の水準の向上を図るため、快適な職場環境を形成するよう努力義務を科している。
指針の公表等(第71条の3)
(法71条3)厚生労働大臣は、前条の事業者が講ずべき快適な職場環境の形成のための措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るため必要な指針(快適職場指針)を公表するものとする。
2 厚生労働大臣は、前項の指針に従い、事業者又はその団体に対し、必要な指導等を行うことができる。
(平四法五五・追加、平一一法一六〇・一部改正)
厚生労働大臣は必要な指針(快適職場指針)を公表するもとしていて、必要な場合には、必要な指導等を行うことができるようになっている。
国の援助(第71条の4)
(法71条3)国は、事業者が講ずる快適な職場環境を形成するための措置の適切かつ有効な実施に資するため、金融上の措置、技術上の助言、資料の提供その他の必要な援助に努めるものとする。
(平四法五五・追加)
国は必要な援助に努めることが定められている。
快適な職場づくりとは
①作業環境 | 空気環境、温熱条件、視環境、音環境、作業空間 |
②作業方法 | 不自然な姿勢での作業、重筋作業、高温作業、緊張作業 |
③疲労回復支援施設 | 休憩施設、洗身施設、相談室 |
④職場生活支援施設 | 洗面所、更衣室、食堂、給湯設備、談話室 |