火災保険(企業向け)

よくある疑問(企業向け地震保険)

投稿日:2020年5月9日 更新日:

質問:
 企業(法人)向けの地震保険に加入したいのですが、企業
 向け地震保険とはどのような保険ですか?

「企業向け地震保険」とは、火災保険につけることができる特約である「地震危険補償特約」のことを指します。(保険会社によっては、地震危険担保特約という名前の特約名のところもあります)
実は、「企業向け地震保険」という用語自体ちょっと誤解があります。このページは、そのちょっとした誤解がある「企業向け地震保険=地震危険補償特約」について解説します。

 

2つの「地震保険」とは?

「地震保険」には2種類あります。文字通りの①地震保険②地震危険補償特約です。両方とも主契約である火災保険につける形を取りますので、単独で加入することができません。

先ほど申し上げた通り、①地震保険=「個人向けの地震保険」、②地震危険補償特約=「企業向け地震保険」という誤解があります。
実は、個人向けと企業向けという区分は誤りで、以下の区分が正しい内容となります。

種類対象対象の目的
①地震保険住宅(建物・家財)住むために使うもの
②地震危険補償特約・住宅以外の建物
・設備、什器
・商品、製品
住むために使うものでない
(いわゆる事業用)
※2種類の地震保険比較

上記のように、個人・企業で区分されるのではなく、住むために使われるものであるか否かで区分されます。つまり、住むために使われるため、住宅の建物や家財は①地震保険の対象になります。一方、住宅以外の建物はもちろん、設備・什器や商品・製品は、たとえ住宅に置かれていても、住むために使う訳ではないので、②地震危険補償特約の対象になります。

したがって、たとえ企業が所有している建物であっても、住むことを目的にしている、たとえば、社員寮や役員宅などは、①地震保険の加入対象であるということです。

ここで、疑問に思われる方がいらっしゃると思いますので、補足をします。たとえば、1階でお店をやっていて、2階に住んでいるような、店舗兼住宅(保険の用語では、併用住宅)はどっちの保険の対象になるのでしょうか。1階と2階でバラバラに加入するのでしょうか。

答えは、建物、家財は①地震保険、設備・什器と商品・製品は②地震危険補償特約になります。両方の保険で加入が可能なような建物がありましたら、地震保険を優先するという考え方があるからです。

このように、2つの地震保険は、そもそも対象によって入れる保険が必然的に決まっているため、両者を比べて、どちら入ろうか検討するようなものではありません。

 

2つの地震保険の違い

種類運営保険金の受取方法
①地震保険半民半官損害割合に応じた4つの区分に応じた受取
②地震危険補償特約民間実損害に応じた受取
2種類の地震保険の比較

①地震保険は、政府と保険会社が共同運営している公共性の高い保険です。制度の目的は震災に見舞われた被災者に対して、最低限の生活保障・救済であるため、実損害を補償する体裁を取っていません。具体的には、損害割合に応じて4つの区分(全損、大半損、小半損、一部損)に応じて保険金を受け取れます。
 ※全損は100%、大半損は60%、小半損は30%、一部損は5%の受取
また、地震の保険金額(補償額)は、火災保険の半額までになっていますので、たとえ全損になった場合でも、実質は50%の補償しか受けることができません。

②地震危険補償特約は、民間の保険会社が単独で運営している保険です。補償割合、限度額、自己負担額などオーダーメイドで設計することが可能です。また、実損害を補償する保険になっています。たとえば、1億円の建物にフルで1億円の補償をつけていた例でいうと、地震で建物が半分損壊して5,000万円の修理費がかかった場合、この5,000万円を丸々保険金として受け取ることができる保険です。保険会社単独で運営していることや商品性が優れているため、地震保険よりもかなり割高です。保険料の払込方法は月払、長期なども可能です。
なお、現在保険会社の引受の枠が枯渇してきている状況ですので、保険会社によっては新たな加入を断っているところもあります。

 

最後に

日本ではいつ、全国どこで地震が起こってもおかしくない状況です。地震の備えとして地震保険への加入を検討する企業は増加傾向にあり、加入率も大幅に上がってきています。

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