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Knowledge(実践知識)62 デジタル通貨(電子マネー・暗号通貨・CBDC(中央銀行発行デジタル通貨))

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日経TESTの5つの評価軸の1つのKnowledge(実践知識)では、ビジネスパーソンが課題解決のために必要な実践的な知識が身についてるかどうかを測る評価軸です。この評価軸でよく出題されるのが、「デジタル通貨」です。このページでは「デジタル通貨」についてよく出題される部分について解説していきます。

日経TESTに関しては、以下のリンク先をご確認ください。

 

デジタル通貨とは

デジタル通貨という言葉については、明確な定義がありません。デジタル通貨の広義の意味は、「デジタルデータに変換された、通貨として利用可能なもの」です。現金ではない、電子マネーや暗号通貨といったものが、すべて広義のデジタル通貨にあてはまります。

電子マネーは、「円」をデジタルで記録し、現金の代わりに使用するデジタル通貨のこと。あらかじめ現金をチャージしておく前払いプリペイド)が基本になりますが、クレジットカードと連携させた後払いポストペイ)といった支払方式も可能になっています。

また、ビットコインをはじめとした暗号通貨(過去は仮想通貨と呼ばれていました)もデジタル通貨の一種です。暗号通貨の多くは非中央集権を目指していることが多く、法定通貨をベースとせずに、インターネット上で世界中の人と取引することができます。

現在話題になっている、国家の中央銀行が発行するCBDC中央銀行発行デジタル通貨)もあります。

電子マネー決定通貨をデジタル化したもの
暗号通貨特定国家の保証を持たない、
暗号化されたデジタル通貨
CBDC(中央銀行発行デジタル通貨)国家の中央銀行が発行する
デジタル通貨
デジタル通貨の分類

 

電子マネー

電子マネーには大きく分けて、以下の2つに分類されます。
交通系電子マネー:鉄道各社が乗車券として生み出した電子マネー
流通系電子マネー:大手流通各社が自社店舗でのショッピングを目的に
          作った電子マネー

電子マネーの支払い方法は、プリペイド型(前払い型)とポストペイ型(後払い型)の2種類があります。あらかじめ現金をチャージしておく前払い(プリペイド)が基本になりますが、クレジットカードと連携させた後払い(ポストペイ)といった支払方式も可能になっています。

電子マネーは、利用者側にも店側にも、以下のようなメリットとデメリットがあります。

メリットデメリット
利用者支払いがスピーディーにでき、現金の受け渡しがいらない。プリペイド型の場合、事前にチャージしておく必要があるクレジットカードに比べて、利用限度額が低いものもある
店舗現金のやりとりがなく、レジ業務を高速化できる現金管理の作業負荷が軽減できる専用の決済端末が必要なため、スペースの確保やコストがかかる決済金額に応じた手数料がかかる

 

暗号通貨

暗号通貨(過去は仮想通貨と呼ばれていました)とは、国家に依存せずに流通する、非中央集権的な通貨です。通常の通貨は、国家の中央銀行が発行し、その価値を国家が保証しています。

暗号通貨は、国家の管理を受けない通貨であるため、需要と供給のバランスによって、その価値が決まります。

暗号通貨は、文字通り暗号化されたデジタル通貨です。例えば、代表的な暗号通貨である「ビットコイン」は、「ブロックチェーン」といわれるしくみを導入しています。ブロックチェーンは、いくつかの仮想通貨の取引情報をブロックごとにまとめて暗号化し、そのブロックを鎖のようにつなげていく技術です。ブロックチェーンでは記録の改ざんが難しいので、暗号通貨の信頼性を担保しています。

暗号通貨には、以下のようなメリットとデメリットがあります。

メリットデメリット
スピーディーな海外送金
送金手数料が安い
少額の交換が可能
クラッキングの可能性がある
値動きが激しい
売買益に対する税率が高い
元本保証がない

民間企業によるデジタル通貨の開発競争も激しくなっています。フェイスブックが2019年に表明した「ディエム(旧リブラ)」は個人間送金を前提としたことで世界の金融当局の理解を得られず、発行計画が遅れています。そこで民間発のデジタル通貨は企業同士の決済やグループ内での決済用途を探る動きが広がっています。100%の裏付け資産で価格を安定させ、銀行口座のない人にも低コストで金融サービスを届ける理念を掲げています。なお、世界の金融当局は「国家の通貨主権を揺るがしかねない」と、フランスのルメール経済・財務相は強く反発しています。

JPモルガン・チェースが19年2月に公表した「JPMコイン」を構想しています。同行の専用口座にドルを払い込み、同等の価値のあるJPMコインをブロックチェーン上で発行する仕組みです。顧客の企業同士が迅速に決済できるようになります。米JPモルガンでブロックチェーン(分散型台帳)技術関連の事業に携わるクリスティーン・モイ氏は2020年10月実験から実用化の段階に移っている発表しています。

欧州ではオーストリアを拠点とするライファイゼン銀行もユーロなどに1対1でペッグしたデジタル通貨「RBIコイン」の実証実験を進めています。海外送金のコスト削減につなげることを目的としています。

日本でもブロックチェーン推進協会(BCCC)が21年の独自通貨発行を計画しています。

また、トヨタ自動車子会社のトヨタシステムズ(名古屋市)は2020年10月にデジタル通貨の実証実験を始めました。社員が専用ウェブサイトから生鮮食品などを購入する際にデジタル通貨を使えます。

3メガバンクなどが参加したデジタル通貨勉強会の座長、フューチャーの山岡浩巳取締役は

 

CBDC(中央銀行発行デジタル通貨)

CBDCとは「Central Bank Digital Currency」の略語で、日本語では「中央銀行発行デジタル通貨」と訳されています。国家の中央銀行が発行し、デジタル通貨で、紙幣や硬貨といった実物が不要になり、電子マネーや仮想通貨のようにデータとしてのみ存在し、電子的にお金の受け渡しが可能になります。なお、次の3つを満たすものをCBDCCentral Bank Digital Currency)と定義されています。
(1)デジタル化されていること
(2)円などの法定通貨建てであること
(3)中央銀行の債務として発行されること。

CBDC(中央銀行発行デジタル通貨)には、以下のようなメリットとデメリットがあります。

メリットデメリット
国家側紙幣や貨幣の製造、流通、管理、廃棄のコストを削減できる
マネーロンダリングや脱税、違法組織への送金などを防げる(利用履歴が残る)
クラッキングや偽造に可能性がある
国民側法定通貨である
銀行口座がなくても、各種決済サービスを利用できる
現金が不要なので、紛失や盗難のリスクが低くなる
収入、支出がすべて記録されるため、納税などの手続きが可能
すべての店舗でCBDCへの対応が必要
コストがかかる

 

CBDC(中央銀行発行デジタル通貨)をめぐる世界の動き

CBDC(中央銀行発行デジタル通貨)に関して、世界各国の中央銀行が調査・研究や開発を進めています。

ヨーロッパにおけるCBDC(中央銀行発行デジタル通貨)の動き

ECBも21年中に実験を始める予定です。スウェーデンは「eクローナ」の発行を発表し、試験運用に取り組む予定です。

中国におけるCBDC(中央銀行発行デジタル通貨)の動き

中国は国内4都市での実証試験の実施を発表し、2022年の正式導入に向けた準備が本格化しています。タイでは香港の通貨当局とのあいだで進めてきた開発をさらに前進させ、2020年9月から香港とのあいだでデジタル通貨取引を始めると発表しました。

中国は2020年10月、深圳市で5万人を対象に1人あたり200元(約3200円)の「デジタル人民元」を配る大規模な実験を実施しました。さらに実験の対象地域を北京市内や天津市、上海市など主要都市に広げています。2022年の北京冬季五輪までの正式発行を目標に、最終の準備段階に入っています。

統制強化の狙いも透けます。利用履歴や資金の流れを捕捉しやすいデジタル通貨を当局が発行・管理すれば、マネーロンダリング(資金洗浄)などへの監視力も高まります。国際貿易や金融取引で米ドルへの依存を薄めつつ、新興国との貿易決済などに使って「人民元経済圏」を広げることも考えているようです。

発展途上国におけるCBDC(中央銀行発行デジタル通貨)の動き

バハマやカンボジアは2020年10月に正式発行に踏み切りました。発展途上国では銀行の店舗やATMが十分に整備されず、預金口座はないがスマホは持っているという人も珍しくありません。誰でも金融サービスを受けられる「金融包摂」の観点でCBDCを導入しており、他の途上国でも追随する動きが出てきています。

 

日本におけるCBDC(中央銀行発行デジタル通貨)の動き

これまで、「発行の予定はない」としていた日本においては、2020年7月発表の「骨太の方針」の中でCBDCについてふれ、「日本銀行において技術的な検証を狙いとした実証実験を行うなど、各国と連携しつつ検討を行う」としています。それを受けて、直後の7月20日には、日本銀行内に「デジタル通貨グループ」が設置されました。日本を含め、CBDCに関する世界の動きは、急速に活発化しています。実現すれば個人や企業の利便性が高まるとの期待がある半面、技術や制度設計面の課題も多くあります。

日銀は2021年に実証実験を始める予定になっています。3段階を想定し、まずはシステム上で実験環境をつくり発行や流通など通貨に必要な基本機能を検証する予定になっています。電子上のお金のやり取りで不具合が起きないか調べたり、発行残高や取引の履歴を記録する方法を検討したりする予定です。21年度中にも第2段階に進み、お金に金利をつけたり保有できる金額に上限を設けたりと、より複雑な条件下で機能するかを試します。

最終段階の「パイロット実験」は民間の事業者や消費者も参加し、地域を限って実際の売買に使えるかどうかを検証します。ここまで来れば発行が現実味を増してくるが、日銀は「必要と判断すれば実施する」としています。

(参考)間接型発行とは

CBDCを検討する多くの中央銀行は、国民が中銀に直接口座を持つ形式ではなく、民間金融機関などを経由して個人や企業に行き渡らせる「間接型」の発行を想定しています。これを間接型発行と言います。銀行は受け入れた預金を貸し出しに回す「信用創造」で世の中に出回るお金を増やしています。銀行を中抜きすると、このメカニズムが働かず、経済活動が縮小する恐れがあるためです。

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