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Knowledge(実践知識)51 年金の仕組み(厚生年金・国民年金)

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日経TESTの5つの評価軸の1つのKnowledge(実践知識)では、ビジネスパーソンが課題解決のために必要な実践的な知識が身についてるかどうかを測る評価軸です。この評価軸でよく出題されるのが、「年金の仕組み(厚生年金・国民年金)」です。このページでは「年金の仕組み(厚生年金・国民年金)」についてよく出題される部分について解説していきます。

日経TESTに関しては、以下のリンク先をご確認ください。

年金制度の仕組み

公的年金は2階建て

公的年金には、20歳以上の全国民が加入する国民年金と、会社員や公務員が加入する厚生年金の2種類があります。
厚生年金に加入している場合は、国民年金と合わせて2つの年金に加入していることになるので、日本の公的年金制度は「2階建ての構造」と言われています。

日本の公的年金制度は、自分の払った保険料が貯蓄され、将来そのお金を受け取るという制度ではありません。働いている世代が払っている保険料は、現在の高齢者の年金給付に充てられるという「世代間の支え合い」によって成立している制度です。

 

国民年金とは

国民年金は1961年に始まった「国民皆年金」の呼び声を基に始まった年金制度です。国内に住所を持つ20歳以上60歳未満のすべての人が加入し、一定の受給資格を満たすことで「老齢基礎年金」が受け取れます。

被保険者は、第1号被保険者と第2号被保険者、第3号被保険者に分けられます。

国民年金の被保険者区分と、それぞれの納付方法は以下の表で確認してください。

 対象者納付方法
第1号被保険者・自営業者
・学生
・フリーター
・無職の人
納付書を使った納付や口座振替で、自分自身で納める。
※学生などで収入が無く納められない場合は、免除あるいは猶予あり
第2号被保険者・厚生年金を納める事業所の被雇用者国民年金保険料は厚生年金保険料に含まれているため、勤務先がまとめて納める。
第3号被保険者・第2号被保険者に扶養される20歳以上60歳未満の配偶者
※年間の収入が130万円未満の人
配偶者(第二号被保険者)や扶養者が加入する年金制度で一括負担される。
※自分自身で保険料を納めることはない

 

保険料を納める期間

国民年金を満額で受給するには、20~60歳までの納付期間を途切れることなく納付し続けなければなりません。

ただ、すべての期間を納付し続けていなくとも、条件を満たせば受給対象となります。

2017年7月末以前においては、25年間の納付期間がなければ国民年金を受給することはできませんでした。しかし、制度変更により、2017年8月以降は「10年間」の納付期間があれば年金を受け取れるように変更になりました。

保険料の金額

国民年金の保険料額は、「保険料額×保険料改定率」で算定されるのが基本です。

「保険料額」については、2004年度に行われた改正によって「13,580円」を基準に、2017年度まで毎年度ごとに月額280円アップすることが決まり、2019年度以降は、月額100円アップすることが定められました。

「保険料改定率」は、「物価変動率×実質賃金変動率」で計算される「名目賃金変動率」に前年度保険料改定率を掛けた値です。
保険料額にかけ合わせることで、物価や賃金の伸びに合わせて調整を行うことができます。2019年度の国民年金保険料は月額16,410円となっています。

 

厚生年金とは

厚生年金は、国民年金にプラスアルファの形で年金保険料を納付する、いわば「2階部分」の保険です。

被保険者となるのは、一般企業に勤めるサラリーマンや公務員など。

保険料の納付額は月給(標準報酬月額)の18.3%を負担することになっており、その半分は会社が負担しています。
各人の収入に応じて納める保険料が異なるのは、厚生年金の特徴と言えるでしょう。

厚生年金被保険者は、会社の就業規則などに定められている所定労働時間、所定労働日数のうち、4分の3以上を満たしている従業員が加入します。

4分の3未満であっても、以下の条件に該当する場合は厚生年金の被保険者となります。

  • 雇用が1年以上にわたって見込まれている
  • 所定労働時間が1週間に20時間以上ある
  • 賃金が月額で8万8000円以上ある
  • 勤務している企業が常時501人以上である
  • 学生ではない

会社や役所などに就職したときから退職するまでが加入期間となり、会社を辞めて自営業者になった場合や、結婚して配偶者の扶養に入る場合は、国民年金の第1号被保険者や第3号被保険者へと変わります。

なお、もらえる年金は「老齢厚生年金」と呼ばれ、老齢基礎年金に上乗せされます。

 

保険料を納める期間

厚生年金の年金保険料は、企業などに就職してから支払いを開始し、退職する日まで払い続けます。
例えば、大学を22歳で卒業してその年齢で就職し、65歳まで働き続けたというときは、厚生年金保険料の納付期間は43年となるわけです。

会社を退職した翌日に厚生年金の加入資格は喪失することになり、仮に月の途中で退職した場合は、その月の前月分まで厚生年金保険料を納めることになります。
なお、制度上における最長の納付期間は、義務教育が終了する15歳から70歳までの55年間です。

出産や育児休業を取っている間、保険料の支払いは免除されますが、介護休業を取得したときは免除されないので注意しましょう。

 

保険料の金額

厚生年金の保険料は、毎月支払う額が「標準報酬月額×保険料率」、賞与に対しては「標準賞与額×保険料率」で算定されるのが基本です。

「標準報酬月額」は、4~6月における給料の平均額が、制度上規定されている1~31までの等級のどこに分けられるかで額が定められます。
例えば、平均給与が23万5,000円だったとしたら、「標準報酬」の等級では「23~25万円」の「16等級」に当てはまり、標準報酬月額は「24万円」とされるのです。

この標準報酬月額に、所定の保険料率(2017年9月からは18.3%)を掛けることで、厚生年金の保険料額が定められます。

なお、厚生年金の保険料は会社側と折半するため、実際に負担する額は標準報酬月額は9.15%を掛けたものです。

 

遺族年金とは

遺族年金とは、国民年金あるいは厚生年金保険の被保険者が亡くなった場合に、遺族が受け取れる年金のことです。 亡くなった方によって生計を維持していた遺族に対して「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」のどちらかもしくは両方の年金が支給されます。

ただし、亡くなった被保険者に25年以上の年金加入期間があることが条件です。
老齢年金の受給資格期間は10年に短縮されましたが、遺族年金については現行制度では短縮されていませんので、その点は注意が必要です。

 

遺族基礎年金

遺族基礎年金とは、亡くなった人によって生計を維持していた「子を持つ配偶者」または「子」が受け取れる年金です。
ここでいう「子」とは、18歳になる年度の3月31日までの間にあり(障害等級1級または2級の子の場合は20歳未満であること)、婚姻していない人のことを指します。

また、第1号被保険者として保険料を納付した期間が10年以上ある夫が老齢年金等を受けずに亡くなった場合、夫の収入で生計を維持していた婚姻期間10年以上の妻に対して「寡婦年金」が支給されます。
支給期間は60歳から65歳までです。

 

遺族厚生年金

遺族厚生年金とは、厚生年金の被保険者が亡くなった場合に、その遺族が受け取れる年金のことで、受給要件は以下の通りです。

  • 被保険者の死亡時、または、被保険者である期間内に発生した傷病が原因で、初診日から5年以内に死亡したとき
  • 厚生年金における受給資格期間が25年以上ある人が死亡したとき
  • 1級または2級の障害厚生年金を受けられる人が死亡したとき

受給対象となるのは、亡くなった人の収入で生活していた妻、子ども、孫、55歳以上の夫、父母および祖父母です。
⼦どもおよび孫は、18歳になった年度の3⽉31⽇までの間であること(障害がある場合は20歳未満であること)。

なお、遺族厚生年金をもらっていた人が本人の老齢厚生年金を受給できるようになった場合は、まず老齢厚生年金を優先的に受給します。

 

障害年金とは

障害年金は、病気または怪我によって日常生活や仕事に支障が出るようになった場合に支給される年金です。
障害年金には「障害基礎年金」と「障害厚生年金」の2種類があります。

どちらの年金を受給するかは、病気や怪我で初めて医師に診てもらった際に加入していた年金制度に左右されます。
国民年金の場合は障害基礎年金の受給対象となり、厚生年金に加入していた場合は、障害基礎年金に上乗せして障害厚生年金も支給対象となります。

ただし、年金保険料に一定の未納があると障害年金を受けられない場合があるので注意しましょう。

障害基礎年金とは、国民年金への加入期間、あるいは国民年金に未加入である期間(20歳前もしくは60歳以上65歳未満の期間)において、障害等級表1級または2級の障害にある場合に支給される年金です。

一方、障害厚生年金は、障害の要因となった病気や怪我の初診日に厚生年金に加入していた人に対して支給されます。
障害の状態が3級の場合には障害厚生年金のみが、2級以上の場合には障害基礎年金に上乗せして支給されることになります。

 

年金制度がもつ5つの強み

公的年金は、現役世代が現在支払っている年金保険料によって、高齢者が現在受け取っている年金をまかなうという「世代間扶養」の仕組みによって成立しています。

現役世代が払っている年金保険料が蓄積され、それが将来本人に支給されるわけではありません。
こうした世代間扶養の仕組みに対しては、少子高齢化が急速に進む中、「将来的に年金制度は崩壊するのではないか」と懸念する人も多いです。

しかし、現行の公的年金制度には強みも多く、世代間扶養をとっているからこそ生じるメリットもあります。

インフレに強い

インフレは、物価が上昇し続ける現象のことを指します。物価は常に変動しており、もし今後物価が大きく上昇したら、それに合わせて受給できる年金額も変更されないといけません。

現行の公的年金制度においては、物価や賃金状況の変化に合わせて、納める年金保険料と支給される年金給付のバランスをきちんと取る仕組みが取られています。
この仕組みは「物価スライド制」と呼ばれ、物価が上昇したら年金保険料がそれに合わせて上昇しますが、その分、受け取る年金額も上がるのです。

たとえ現在5,000万円の貯蓄があっても、もし将来物価が2倍になると、その価値は蓄えたときの2分の1となります。
公的年金制度は、そのようなリスクを避けられる仕組みが取られているわけです。

税金で補填される

国民年金の財源はその半分が税金によってまかなわれており、万一、年金保険料だけでは不足するという事態が生じたときは税金で補われます。
そのため、保険制度としては安定度が高いと言えるでしょう。

厚生労働省の試算によれば、今の若い世代が老後に受け取れる年金額は、納めた額以上になる見込みです。

2018年ベースで計算すると、日本人の平均寿命は男性が81.09歳、女性が87.26歳で、仮にこの年齢を生きて迎えることができれば、年金保険料の支払総額は約784万円(1万6,340円✕12ヵ月✕40年間)で、年金の受給額は男性約1,254万円、女性だと1,735万円となります。

これは40年間満額で保険料を納めたケースですが、トータルでみれば「得をする」と言えるわけです。

老齢年金だけではない(障害基礎年金遺族基礎年金

あまり認知度が高くありませんが、「生活保障のための保険機能もある」という点も公的年金の強みです。
例えば、大病を患って体が不自由になったときは「障害基礎年金」を受け取ることができます。

民間の保険会社にも同様の商品は多いですが、国民年金における障害年金と同じくらいの広い範囲の障害に対応している保険はありません。
受け取れる年金額も、状況によっては老齢年金よりも1.25倍になることもあり、さらに子どもの数に合わせて増額されます。

また、病気や事故によって家族を残して死亡したときは、残された子供が18歳になるまで「遺族基礎年金」の支給を受けられる点も、国民年金の強みです。

ただ、受給対象となるには、国民年金保険料を加入期間の3分の2以上の期間、納付し続けていることが条件となっています。

公的年金は障害や死亡時に生活保障となる機能があります。

 

経済的に厳しいときには免除や猶予の相談ができる

国民年金保険料の負担額は、2018年度において月額1万6,340円、年額で19万6,080円です。
中には「収入状況が変わり、負担しきれなくなった」という人もいるかもしれません。

もし経済的に苦しくて保険料を納付できないなら、必要な手続きをきちんと行うことで、免除制度あるいは猶予制度を利用することができます。

そのためには本人、配偶者、世帯主の前年所得が、それぞれ一定の金額以下であることが条件になります。

免除制度を利用すれば、免除期間中は年金受給のための累計に含まれますし、全額免除が認められたときでも、本来の受給額の半分を受け取れるのです。
免除や猶予を受けるのに必要な条件を満たしているならば、これらの制度を利用しない手はありません。

こうした猶予や免除の制度がある点は、公的年金の大きな強みだと言えます。

 

支払った保険料が所得控除の対象になる

国民年金保険料は「社会保険料控除」の対象です。

納めていることで税金の支払額を少なくすることができ、自営業者などの個人事業主は確定申告時に申告を行い、会社員だと年末調整において控除されます。
個人事業主の方は、申告が漏れてしまうと税金面で損をしてしまうので注意が必要です。

「還付申告」をすれば、最大5年をさかのぼって還付を受けることができるので、過去に社会保険料の控除を申告していなかった人は税務署の窓口で相談、申告しましょう。

 

年金はいつ・いくらもらえるのか

基本は65歳から

20歳から60歳までの全期間において保険料を納めた人の場合、老齢基礎年金の受給開始は65歳からになりますが、受給開始の時期をずらすことも可能です。

「繰り上げ受給」は65歳になるのを待たずに60歳から老齢年金を受給すること。一方、「繰り下げ受給」は66歳から70歳までの間に受け取りを開始することです。

繰り上げ受給をすることで、毎年受け取れる年金が減額されてしまう点には注意が必要です。
繰り上げ申請をした時点での減額率がその後もずっと適用されることになるのです。

一方、繰り下げ受給をした場合は、繰り下げ請求をした時点によって年金額が増額されます。

 

平均受給金額はいくら?

厚生労働省が2017年12月に公表した「2016年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、支給されている年金額の平均は、国民年金(老齢基礎年金)が平均月額5万5,464円、厚生年金(老齢厚生年金)では14万7,927円。

厚生年金保険(第1号)国民年金
受給者数平均年金月額受給者数平均年金月額
1496万3,551人14万7,927円3132万3,934人5万5,464円

国民年金だけで老後の生活を送るのは、苦しいと言えるでしょう。

また、厚生年金は報酬額や加入期間によって支給額に差が生じるようになっており、男女間の平均受給額に大きな差があるのが実情。
同報告書によると、男性は16万6,863円、女性では10万2,708円と、両者の間に6万円以上の開きがあることがわかっています。

 

第2号被保険者は3階建てにできる

日本の公的年金は、国民年金と厚生年金による「2階建て」だとお伝えしましたが、これに「厚生年金基金」や「確定拠出年金」などの私的年金を加えると「3階建て」となります。

私的年金は公的年金を補完する目的で用意されているもので、任意加入が基本です。
私的年金には、企業が福利厚生の一環として行っている年金と、個人が任意で加入する年金の2つのタイプがあります。

企業が行っている年金には、企業型確定拠出年金や企業型確定給付年金があります。

また、一部厚生年金保険料の収受や老齢厚生年金の給付を代行している厚生年金基金も私的年金のうちに入ります。

個人が任意で加入する年金の代表的なものとしては、2017年から加入対象が拡大した個人型確定拠出年金(通称:iDeCo)が挙げられます。
それぞれの私的年金について、以下で詳しくみていきましょう。

 

国民年金にも上乗せができる

上で紹介したとおり、第1号被保険者がもらえる年金額は、第2号被保険者と大きな差があります。
国民年金だけでは老後の生活が不安だという人のため、第1号被保険者でも加入できる私的年金があるのです。

付加年金

第1号被保険者・任意加入被保険者が、定額の保険料に加算して月額400円の付加保険料を納めると、将来受け取る老齢基礎年金を増やすことができます。

月額も負担額が少ないので、少しでも年金を増やしたいという方にはオススメです。

申込みをした月から付加保険料を納付することができます。

ただし、保険料の免除などを受けている方や、国民年金基金に加入している方は対象ではありません。

第2号被保険者と第3号被保険者は付加年金には加入不可。
付加保険料だけの納付もできません。

国民健康保険や国民年金と同じで、社会保険料控除として所得から全額控除できます。

小規模企業共済

小規模企業共済とは、自分自身の積立てで退職金を用意する制度です。

自営業者やフリーランスの方は厚生年金保険がなく、国民年金保険に加入します。

しかし、国民年金保険で受け取る額は厚生年金保険に比べて大きくはないのが現状です。

そこで選べる選択肢のひとつとして「小規模企業共済」が挙げられます。

小規模「企業」共済と聞いてイメージするのは小規模企業の役員や経営者ですが、個人事業主も対象です。

通常の積み立てと違うのは、掛金が全額所得控除の対象という点。

掛金の上限が毎月7万円なので、1年間で最大84万円が所得控除の対象となるのです。

自営業やフリーランスの方にとっては、節税効果も期待でき、老後資金の準備にはぴったりです。

国民年金基金

国民年金基金制度は、自営業者や無職の人など、国民年金における第1号被保険者の老後所得を保障する目的で設立された制度です。

国民年金にしか加入していない第1号被保険者は、厚生年金などに加入している会社員と比べた場合、将来受け取る年金額に大きな差が生じます。
この年金額の格差を解消するために制度化されたものが国民年金基金です。

この制度により、第1号被保険者の方も自身の年金を「2階建て」にすることが可能になりました。

 

確定拠出年金(個人型)

個人型の確定拠出年金とは、加入者が積み立てによって掛金を拠出し、自分で選択した金融商品で運用を行う私的年金です。
運用した資産は、60歳以降に受け取ることが可能になります。

企業型の確定拠出年金では「企業が掛金を拠出して従業員が運用を行う」という仕組みでしたが、個人型確定拠出年金では加入者が掛金の拠出も行ないます。

個人型確定拠出年金は、アルファベット表記で「iDeCo(イデコ)」と呼ばれており、もともとは自営業者もしくは企業年金制度がない会社員のみを対象とした制度でした。

しかし法改正により、2017年1月からは、企業年金に加入している会社員をはじめ、公務員や専業主婦なども加入できるようになっています。

掛金は全額所得から控除でき、運用益は非課税となるなど、税制優遇面からも話題になりました。

加入には、自分で手続きを行う必要があります。
銀行だけでなく証券会社や保険会社などさまざまな金融機関が取り扱っているので、それぞれの内容や条件だけでなく、手数料もよく確認するようにしましょう。

 

確定拠出年金のメリット・デメリット

メリット

個人型確定拠出年金のメリットとしては、掛金が所得控除の対象となり、所得税や住民税の節税につながることや運用益に対して課税がないこと。そして年金を受給するときに、退職所得控除や公的年金控除などの所得控除があること、などが挙げられます。

なかでも最大のメリットは、掛けたお金のすべてが所得控除され、加入当初から節税効果を見込めることです。
例えば、毎月1万円ずつ拠出したとすると、年間所得から12万円の控除を受けられます。

節税額は収入や掛け金によって変動しますが、積み立て期間中の節税総額を考えると高い節税効果を見込むことができるでしょう。

また、株式による利益や預金の利子には通常20%の所得税が課税されますが、確定拠出年金における運用益は非課税です。

なお、将来受給される年金は全額が所得とみなされ課税対象となりますが、そのときも退職所得控除や公的年金控除などを適用できるので、少ない課税額で済みます。

デメリット

個人型確定拠出年金のデメリットとしては、金融機関に対して支払う管理手数料が高めであること投資初心者に運用が難しいこと、そして60歳までお金を引き出すことはできず原則として途中解約ができないことなどがあります。

管理手数料は月額500円~600円ほどが相場で、仮に掛金の月額が1万円だったとすると、管理手数料率は5%となるので割合としては高いです。
運用に不慣れで難しい方にとっては、あらかじめ5%を差し引いた上で運用していかなければならないのは大変と言えます。

また、確定拠出年金における運用商品は投資信託が多く、投資の初心者だと自分で運用するのは難しいので、この点もデメリットだと言えるでしょう。

さらに、年金という性格上やむを得ない面もありますが、途中で解約してお金を引き出すということが原則できないので注意が必要です。ただし、ついお金を引き出して使ってしまう方にとっては、なかば強制的に貯蓄にまわすことができるので有効と言えるでしょう。

-実践知識(Knowledge)

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