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Knowledge(実践知識)19 農産物(米・コメ)

投稿日:2020年9月11日 更新日:


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日経TESTの5つの評価軸の1つのKnowledge(実践知識)では、ビジネスパーソンが課題解決のために必要な実践的な知識が身についてるかどうかを測る評価軸です。この評価軸でよく出題されるのが、「農産物(米・コメ)」です。このページでは「農産物(米・コメ)」についてよく出題される部分について解説していきます。

日経TESTに関しては、以下のリンク先をご確認ください。

 

農産物の生産・消費・流通

生産量と消費量で見る世界の米事情

資料:日本のデータは平成26年度「食料需給表」より、その他の国・地域は米国農務省「PS&D」(10 November 2015、2014/15年の数値〈見込値を含む〉)より作成
※注:「生産量」「消費量」は精米ベース、日本の「1人当たり消費量」は供給純食料の値(精米ベース)、その他の国・地域は、「消費量」を国際連合「World Population Prospects: The 2015 Revision」(2015年1月1日推定値)の人口で割って算出、「ヨーロッパ」はEU加盟28カ国の合計

米は、生育期間中の高音多雨を必要として、デルタ地帯などの低平な場所で生産されています。

米国農務省によると、世界の米の生産量は年間約4億8,000万トン(精米ベース)。その大半がアジアを中心とした国々で作られています。

資料 : 日本のデータは平成26年度「食料需給表」より、その他の国・地域は米国農務省「PS&D」(10 November 2015、2014/15年の数値〈見込値を含む〉)より作成
※注 : 数値は精米ベース

生産量の第1位は中国の1億4,450万トンで、全体の30%を占めています。続くインド、インドネシアの上位3カ国だけで、約60%近くにもなります。生産の大半はアジアです。なお、輸入国の1位も中国(10.2%)です。

日本の生産量は、年間781万6,000トンで世界第10位消費量は796万6,000トンで生産量を上回っていますが、1人当たりの消費量は年間55.2キログラムと他のアジア諸国に比べて圧倒的に少なく、年々減少傾向にあります。

中国は生産量で第1位でありながら、輸入量も1位となっており、一方の輸出は、インド、タイ、ベトナム、パキスタン、アメリカが上位を占めています。

世界各地において、高収量品種の導入や灌漑施設の整備、肥料の使用など進んだ結果、1960年代以降、世界の米の収穫量は大幅に増加しました。インドネシアやベトナムは緑の革命が進んだ国や日本のように品種改良や集約的栽培が進んだ国では高い単位収量を実現しています。

一方でタイは肥料や農薬をあまり使わないため、単位収量は低いままだが、その分生産コストも低いため、国際競争力はあります。

※緑の革命(Green Revolution)とは

主として開発途上国の人口増加による食糧危機克服のため、多収穫の穀類などを開発して対処しようとする農業革命のことを言います。1941年、ロックフェラー財団とメキシコ政府が共同で取り組んだ小麦の高収量品種開発が始まりと言われています。

アジア地域では、1960年代後半にフィリピンの国際イネ研究所(IRRI)で多収穫品種「IR8」が開発された。この新品種イネはミラクルライスあるいはハイブリッド米とも呼ばれ、単位面積当りの収量を画期的に向上を実現させました。このため、アジアの多くの開発途上国において耕作が奨励されました。

一方で、新品種は多量の水や化学肥料、農薬を必要とし、砂漠化や農薬汚染など環境への影響、さらには先進国(化学肥料、農薬供給国)と開発途上国、金持ち階級と貧困層との間に深刻な社会経済的な問題も引き起こしています。

インドでは一時的に米の収量が増加したが、その後落ち込んだこともあり、現在ではそれぞれの土地条件に合った在来品種の作付けなどが研究、奨励されています。これら緑の革命の功罪は、生物多様性および生物資源をめぐる先進国と途上国関係などの面からも関心を持たれています。

 

米の品種と栽培分布

世界的な生産量でみるとインディカ米が80%と圧倒的にメジャーで、ジャポニカ米のシェアは約20%です。

マダカスカルでも「マダガスカルに通じる稲の道」と呼ばれ、東南アジアで栽培されているインディカ米が栽培されています。これは、10世紀ごろにインドネシアやマレーシアから伝わったと言われています。

出典:食糧庁「着検手帖(農産物規格規程(抄))」

ジャポニカ米のうるち米ではアミロペクチン約80%に対してアミロースは約20%です。なお、粘り気が持ち味のもち米ではアミロペクチンが100%です。これに対して、インディカ米のアミロース含有量は22~28%で、ジャポニカ米よりもパラパラ感が強くなります。

 

日本の米生産

資料:米国農務省「PS&D」(10 November 2015)
※注:2014/15年の数値(見込値を含む)、貿易率(%)=世界の輸出量÷世界の生産量

米の生産量に占める貿易量の割合(貿易率)は他の農産物に比べて低いです。

日本では、その土地の土や水、気候に合わせて、さまざまな種類の米が生産されています。様々な品種が生産されています。以下の図が米の収穫量と作付上位品種を、都道府県ごとに紹介したものです。

資料:農林水産省「平成26年産水陸稲の収穫量」、米穀安定供給確保支援機構「平成26年産 水稲の品種別作付動向について」より作成
※注:作付上位品種は、平成26年産のうるち米(醸造用米、もち米を除く)、収穫量は平成26年産の水稲(主食用)の数値

資料:米穀安定供給確保支援機構「平成26年産 水稲の品種別作付動向について」より作成
※注:平成26年産うるち米(醸造用米、もち米を除く)の数値

南北に長い日本では、その土地の気候や風土に合わせた作物が生産されていますが、米は北海道から沖縄までの各都道府県で栽培されている、数少ない農産物です。

病害虫や冷害に強いもの、収穫量が多く食味の良いものなど、多種多様な品種が開発され、主食用、酒米用などと合わせると、実に500種以上が作られてきました。

そうした中、1956年に福井県で誕生した「コシヒカリ」は、甘みと粘り気が強く、冷めてもおいしいことから多くの人に好まれ、日本各地で生産されるようになりました。79年から現在に至るまで、作付面積1位となっています。

その後も「ひとめぼれ」「あきたこまち」「はえぬき」などさまざまな品種が登場。栽培する地域の土や水、気候などの特徴を生かし、関東・近畿地方では「キヌヒカリ」、九州地方では「ヒノヒカリ」なども作られるようになりました。

以降、現在に至るまで、各地から個性豊かな新品種が次々と登場し、”ご当地米”として注目を集めています。

 

五ツ星お米マイスター・西島豊造(とよぞう)さんがセレクト
日本各地で開発された話題の新品種を厳選! 好みや用途に合わせて楽しめます。※注:()内は主産地

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